コカ・コーラ社がお茶に本気のワケ、「やかんの麦茶」「紅茶花伝ストレートティー」など新製品続々

コカ・コーラシステムの茶系商品群
コカ・コーラシステムは、炭酸やコーヒー飲料におけるトップメーカーとして日本の市場を牽引しているが、清涼飲料市場で金額規模の最も大きいカテゴリーのお茶では追う立場である。ただ、ここ数年は茶系飲料に大型商品を投入し、2021年も無糖紅茶や麦茶の新製品を次々と発売している。

日本コカ・コーラ社マーケティング本部の小林香予事業本部長は、「当社だけが持つ多彩なポートフォリオにより、お茶市場でもリーディングカンパニーを目指す」と語る。なぜ、コカ・コーラ社はお茶へいっそう注力するのか。

日本コカ・コーラによれば、最近の傾向として生活者が飲料を選ぶ際、コーヒーや炭酸飲料など、ビジネス視点のカテゴリー区分けで製品を選ばなくなっっているという。「たとえば、しっかりとした味わいを楽しみたい時にはコーヒーを選ぶ人もいれば、紅茶や緑茶を選ぶ人もいる。健康の維持・向上のためにトクホ製品を選ぶ人もいればフレッシュなジュースを選ぶ人もいる。のどを潤しリフレッシュしたい時には、麦茶やブレンド茶と共に水も選択肢に入る」(小林本部長)という。

日本コカ・コーラ社 小林本部長

日本コカ・コーラ社 小林本部長

 
つまり、飲料のカテゴリーではなく、その瞬間のモチベーションによってその時のニーズを満たしてくれる製品を複数カテゴリーの中から選び、飲みまわる傾向が強まっている。日本コカ・コーラは、その代表的なニーズを嗜好性、健康感、止渇性と定義した。そして、お茶カテゴリーは、この3つのニーズを緑茶や紅茶など異なるセグメントで満たせる数少ない飲料カテゴリーだという。そこで、さまざまなお茶ブランドを持つコカ・コーラ社は、お茶で強みをより発揮したい考えだ。
 
今年の活動は、“急須でいれたような本格的なお茶”の味わいを目指す緑茶ブランド「綾鷹」で、「綾鷹 伝統工芸支援ボトル」を2月15日から全国発売した。止渇ニーズに向けては、長らく愛されてきた「爽健美茶」に加え、新麦茶ブランド「やかんの麦茶」を投入する。紅茶は、「紅茶花伝」に「無糖ストレートティー」加えを、質の高い味わいを統合的に提供できる紅茶ブランドとして進化させた。健康茶では、トクホ製品の「からだすこやか茶W」のシリーズとして、新製品の機能性表示食品「からだおだやか茶W」も投入し、幅広い世代の健康価値に応える包括的なプラットフォームとして存在感を発揮している。
 
また、緑茶ブランド「綾鷹」からは、素材と製法にこだわった抹茶の味わいの新製品「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」(440mlPET他)が3月22日から全国発売される。「綾鷹カフェ」は、京都・宇治の老舗茶舗「上林春松本店」とスペシャルティコーヒー専門店「猿田彦珈琲」が監修した「綾鷹」ブランドの新シリーズだ。担当者は、「和素材メニューはカフェでも定番化している。日本茶の素材を活用したラテ製品を出すことで、いままであったコーヒー・紅茶に次ぐ“ラテ第三極”の確立を目指す」と意気込みを語っている。
 
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コカ・コーラシステム「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」

コカ・コーラシステム「綾鷹カフェ 抹茶ラテ」

 
お茶カテゴリーの本格的な強化に至った理由について、小林本部長は次のように語る。「当社はお茶のカテゴリーを長い年月をかけて育成してきたが、2021年はそれぞれのセグメントに対する新製品をやっと強化できた。たとえば“紅茶花伝”は、もともといくつかの製品群があったものの、お客様のイメージは“ロイヤルミルクティー”のブランドのままだった。それを数年前に導入した(フルーツティーの)“クラフティー”で紅茶カテゴリーの傘下にきっちり入れることにより、マスターブランドとしての進化につながった」。
 
「また、近年市場が2ケタ成長となった成長著しい麦茶に関しても、コカ・コーラシステムとして強いブランドを持っていなかった。やっとおいしさにこだわった麦茶を提案できることになった。そういう意味では、お客様のお茶に対するニーズをきっちり捉えて、コカ・コーラ社ならではのおいしさを提供できる商品群がそろってきた」。
 
変わりゆく人々のニーズにバリエーション豊かな提案を行えるという強みを活かし、お茶でもリーディングカンパニーを目指す考えだ。