〈大容量100%果汁と栄養成分入り低果汁で健康ニーズに対応〉
コロナ禍で2020年の清涼飲料市場は大きく落ち込んだが、好調なカテゴリーもあった。炭酸水やミネラルウォーター、野菜飲料や豆乳など、無糖タイプや健康イメージのある飲料だ。だが、意外にも甘いイメージの強い果汁飲料でも好調を続けるブランドがある。キリンビバレッジが展開する「トロピカーナ」だ。伸長した背景には「果汁=おやつ」の概念を取り払い、飲用の習慣化を促す取り組みがあった。

キリンビバレッジの「トロピカーナ」ブランドは、大容量の100%果汁「まるごと果実感」シリーズ(1000ml紙)と、栄養成分入りの低果汁飲料「エッセンシャルズ」(330ml紙/税別122円)の2020年の販売数量が、それぞれ前年比約1割増と伸長した。「まるごと果実感」は過去最高の販売数量だったという。さらに、「トロピカーナ W オレンジブレンド」(500mlPET/税別140円)も、出荷・回転ともに好調だった。なぜ、甘い果汁飲料が好調に推移しているのか。

キリンビバレッジによれば、果汁に対する生活者の意識は、アイスクリームや菓子と同様の位置づけで購入され、「果汁=おやつ」としての認識が強い状況にある。しかし、健康意識の高まりを背景に「果汁=おやつ」を脱却し、“しっかりと栄養が補給できる健康的な飲料”であることを訴求することで「トロピカーナ」ブランドは伸長したという。

キリンビバレッジ社マーケティング部の中田康陽ブランド担当部長は次のように語る。

「トロピカーナは、果汁でも野菜ジュースに十分匹敵するだけの栄養補給ができることを伝えることで、日本における果汁カテゴリーのプレゼンス(存在感)を上げていく。ただし、一足飛びに海外のように“ストレート果汁”“100%果汁の栄養”を訴求しても、今の日本でお客様にその価値を伝えきるのは難しい」

「そこで、果汁カテゴリーを広げるためには、まずお客様がトライアルしやすい“栄養成分入り低果汁”でトライアルの拡大と果汁の飲用の習慣化を図ることが重要になる。2021年は“果汁でも栄養補給ができる”という土台をしっかりと醸成したい」。

2021年は、栄養成分入り低果汁のさらなる躍進に向けた取り組みを強化する。「トロピカーナ エッセンシャルズ」は、3月9日にリニューアルした。30〜40代女性をメインターゲットにする1日不足分の栄養素が手軽に摂れるおいしい果実の栄養飲料のコンセプトは変えていないが、「エッセンシャルズ 鉄分」は新たにクエン酸入りにし、「マルチビタミン」では、配合するビタミンを4種から5種に増やすなど、機能感を強化した。

「トロピカーナ W オレンジブレンド」も2月にリニューアルしており、30〜40代男性をメインターゲットにし、マルチビタミンと2種のミネラルが入っていることをいっそう訴求していく。パッケージに“管理栄養士推奨”の文言も新たに入れている。

100%果汁の取り組みでは、大容量の「まるごと果実感」と小容量の新商品を強化する。「まるごと果実感」は、コロナ禍で在宅率が増加し、商品の質を重視する傾向や朝食にかける時間が長くなったことで、ユーザーが増加している。今後は健康意識の高まりに応えるだけでなく、品質にこだわったワンランク上の100%ジュースとして、1本にオレンジ約8.4個分などが入っていることなどを訴求し、さらに新規顧客拡大を図る。

そして、新商品では、旬のおいしさを訴求する栄養成分入りの100%ブレンドジュース「トロピカーナ ヘルシーフルーツ」シリーズを立ち上げ、第1弾として「ヘルシーフルーツ 日向夏&ピーチ」(250ml紙/100円税別)を4月6日から発売する。りんご、グレープフルーツ、ピーチ、日向夏をブレンドし、栄養成分ではマルチビタミンとクエン酸が入っている。
キリンビバレッジ「トロピカーナ ヘルシーフルーツ 日向夏&ピーチ」

キリンビバレッジ「トロピカーナ ヘルシーフルーツ 日向夏&ピーチ」

 
中田担当部長は、「果実の良さを引き出し、もっと手軽で身近なものにしていく。いちばんハッピーな、ナチュラル栄養源でありたい」としており、果汁の健康飲料としての価値をさらに発信していく考えを述べている。