「UCC山梨焙煎所」新設へ、水素を熱源としたコーヒー焙煎にチャレンジ、温室効果ガス100%削減目指す/UCC上島珈琲

UCCグループのコーポレートメッセージ
UCC上島珈琲は、山梨県笛吹市に「UCC山梨焙煎所」の新設を決定した。稼働開始は2024年上期予定。

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これまで積み重ねてきた製造技術を活かした焙煎所(=工場)運営を行うとともに、新たに水素を熱源としたコーヒー焙煎に取り組む。コーヒーの焙煎の熱源は、一般的にはLNG(液化天然ガス)など化石燃料が使用されているが、UCCはガスをクリーンエネルギーである水素に代替するという世界でも例がない取り組みにチャレンジする。

UCC山梨焙煎所におけるエネルギー活用の仕組み

UCC山梨焙煎所におけるエネルギー活用の仕組み

 
焙煎所の新設は、山梨県企業局、東京電力エナジーパートナー、巴商会、東レが共同で取り組む水素を熱源とした脱炭素エネルギーネットワーク「やまなしモデル」技術開発事業の最初の試みとなっている。
 
水素を熱源としたコーヒー焙煎は、山梨県が進めている水を電気分解して水素を製造する技術(P2Gシステム)が活用される。温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる“カーボンニュートラル社会”の実現に向け、再生可能エネルギーの導入拡大と、温室効果ガス削減への貢献が期待される取り組みだ。順調に進めば、電化が困難な産業部門などの脱炭素化を目指す事業の後押しとなる。
 
UCCは官民・業界の垣根を越えた連携により、水素を熱源としたコーヒー焙煎を可能にするとともに、太陽光・水力などの再生可能エネルギーの活用を通じ、2030年に二酸化炭素排出量51%削減(2019年比)、2040年にはカーボンニュートラルなコーヒー製造を目指す。
 
「UCC山梨焙煎所」の焙煎量は、年間1万7000トン規模で同社の中でも多い。施設には、焙煎機5台、包装ライン23ラインを設置する方針。一方、富士工場(静岡県富士市)と北関東工場(埼玉県熊谷市)は「UCC山梨焙煎所」へ2024年までに集約される予定だ。
 
UCC上島珈琲の里見陵副社長は次のように話す。「UCCは、2021年10月に“よりよい世界のために、コーヒーの力を解き放つ。”というパーパス(存在意義)を経営方針として設定している。より良い世界のために、われわれがコーヒーを通じてできることは何かを考え、“UCC山梨焙煎所”の新設を決定した」。
 
【UCC山梨焙煎所の概要】
◆所在地=山梨県笛吹市八代町南4277
◆敷地面積=約34,814平方メートル(総床面積12,000平方メートル予定)
◆稼働開始予定=2024年上期
◆製造品目=レギュラーコーヒー、コーヒーカプセル、ワンドリップコーヒー、フレッシュキューブコーヒー
◆製造する主な製品ブランド=上島珈琲店、ゴールドスペシャル、職人の珈琲、ドリップポッド、各種業務用ブランド
◆総事業費=約143億円(計画)