マルエツ(東京都豊島区)は10月20日、社長直轄の「新しい店づくり推進プロジェクト」に基づくモデル店舗「マルエツ大久保駅前店」(売り場面積599坪、年商目標23億7000万円)を千葉県習志野市の京成大久保駅前に開店した。上田真社長は、「首都圏は恵まれたマーケット。これまで品ぞろえ重視でやってきたが、今後はもっと新しいスタイルを作らなければならない。マスコミ受けではなく、顧客のための店を作りたい。そして持続可能なオペレーションの構築も必要だ。マルエツプチや300坪の店舗ではやりたいことができなかったが、ここではいろんな検証ができる」と話す。

同店は40年以上営業した旧店を昨年1月に閉店して建て替えた。プロジェクトの吉田雅彦部長は目指す店舗のテーマとして、「活気に満ちあふれ、顧客の買い物スイッチが入る店」と話す。プロジェクトは昨年春に設置され、吉田部長はこの間、全国約200のSM(食品スーパー)を見て回ったという。吉田部長は「2年前からSMが変わってきた。今まではセルフサービスだったが、こちらから顧客に近づくことが必要」と話し、大久保駅前店では、従業員と顧客が対話できるポイントを増やした。

店舗入り口にカウンターを設け、専任の「お客さまご案内係」を配置した。鮮魚と精肉、惣菜で対面コーナーを設け、「従業員が積極的に売場に出るようにした」(吉田部長)という。

商品では「即食」を強化した。生鮮部門が持つ素材を店内で調理する「生鮮デリカ」で、「優夢牛」の焼肉重、「5等級仙台牛」の牛めし重、「みちのく森林鶏」の唐揚げなど、精肉売り場で扱う銘柄肉を、精肉部門が調理して販売する。鮮魚部門はマグロのかぶと焼き、生カキのフライ、生ネタを使った寿司などを作る。また、惣菜部門も生鮮部門から提供された素材を使って、弁当・惣菜を作る。同店では店長直轄の「調理担当専任者」を設けた。上田社長は、「もう一歩進んで、その日に入った旬の素材で、その日にメニューを決めることもしたい。そのためには会社としてレシピの種類を持っている必要がある」と話す。

惣菜売場では同社唯一の対面販売を設けた。旬の野菜を使ったサラダの量り売り、キッシュや同社オリジナルの「どんどん焼き」、焼き鳥などを対面で提供する。店内で作るおにぎり、いなり寿司、おはぎなども用意した。

ベーカリーでは顧客が具材を選べるコッペパンサンドも用意した。隣接のイートインではコールドプレスジュースの販売を行い、顧客と店員の接点を増やした。イートインの奥にはキッチン付きの多目的スペースを設け、イベントも開催できるようにした。

上田社長は、「イータリーなどが支持をされ、即食とSMの一体型が究極のSMと言われ、マーケットによってはそれもありうる。ただ、即食と物販はオペレーションが異なる。当社には外食オペレーションのノウハウはない。SMが外食の領域に入ることには無理がある。SMとしてどこまでできるのか、外食のノウハウを研究することは必要」と話す。

今回の惣菜の対面は、従来店より人時が2割増えているという。収益構造について、上田社長は、「基本はPC(プロセスセンター)中心のオペレーション。PCではできないことを店舗でやるが、そのためには(売場面積600坪など)店舗の規模が必要。デリカセンター建設の構想もあり、インストアとセンターを組み合わせる」と話す。

〈食品産業新聞2017年11月2日付より〉