ローソンが取組む店内調理の弁当やサンドイッチなどを提供する「まちかど厨房」は現在約4800店舗で展開、今期中に6000店舗に拡大する。現在の店舗数は既に大手持ち帰り弁当チェーンを超える水準だ。身近なコンビニエンスストア(CVS)で店内調理のお弁当やサンドイッチが買えることで消費者の選択肢は広がる。「手作り感」がある商品を提供し、食にこだわる消費者のニーズに応えて固定客を獲得、導入店での販売は好調だ。人手不足という業界の課題もある中で、オペレーションの簡素化とメニューの充実を両輪で進め、高品質な「中食」の提供で他社との『差別化』を打ち出す。

〈1番人気は「厚切りロースかつサンド」、2週間に一度程度のペースで新商品投入〉
「まちかど厨房」で1番人気の商品は、開始当初から展開している「厚切りロースかつサンド」。店内で揚げた約20ミリの厚く柔らかいとんかつにソースが染み込んだ本格的な商品だ。価格は税込み399円と従来のサンドイッチより高いが人気は衰えない。味・品質と手作りへのこだわりが評価された代表的な商品だ。こうした評価が『差別化』につながる。さらに、新商品は2週間に一度程度のペースで投入、メニューも充実している。9月には新商品として、中華まん什器で保温して販売する後がけのカレーを発売する。店内で炊いたご飯に、保温することで「熟成」したカレーをかける「まちかど厨房」ならではの商品と言える。
ローソン「まちかど厨房」作業風景

ローソン「まちかど厨房」作業風景

同社商品本部デリカ・FF商品部まちかど厨房担当マーチャンダイザーの坂下直人氏によると、「CVSは利便性から近いお店に入る傾向があるが、『まちかど厨房』がある店舗は、多少遠くても来店動機につながっている」という。客層は、CVSのメーン客層である30~40代男性はもちろん、女性やシニアの支持が高い。利用者のアンケートでは、「手作り感」「出来立て感」への評価が高く、「新たな客層を取り込んでいける」とみる。

また導入した店舗では、「従来の弁当などの売上はほとんど減らずに『まちかど厨房』の商品の売上がプラスになる」という。従来の商品と少し高価格な「まちかど厨房」にそれぞれニーズがあり、導入店では目的買いの来客を取り込み、リピート購入率も高い。既存店での導入を進め、新店舗では当初から「まちかど厨房」を含めたレイアウトで開店している。

「まちかど厨房」は、昼食需要のあるオフィス街はもちろん、地方にも各地に繁盛店があり、ニーズは幅広い。その中で、展開約4800店舗の売上には偏差が大きくある。これには人手不足の中で、「作り切れない」という事情もある。

多くの業界で人手不足の状況の中で、「まちかど厨房」の導入でもオーナー、従業員の負荷を軽減することが重要だ。導入店には「まちかど厨房」の売上に応じた増員はもちろん、ワークスケジュール全体の見直しなどの効率化も提案する。

さらに、細部までサポートすることで取組みやすい環境づくりに努める。「効率のいい作り方、順序立ててわかる、作業時の配置も指定した分かりやすいマニュアルを伝える」という。マニュアルには、「ご飯の盛り方」まで書いてある。

既存店での導入に当たっては、全商品を販売することを求めるのではなく、店舗でできることから対応してもらう。最初の一歩は、「ご飯を炊くこと」。これさえできれば、カウンター商品の「鶏から」「コロッケ」と合わせることで簡単な弁当が作れる。また、人気商品の「海鮮かき揚げ丼」はかき揚げを揚げて載せるだけで盛り付けも簡単で、作りやすい。こういった作りやすい商品の導入から始め、包丁を使う「厚切りロースかつサンド」、各種弁当とステップを進めることで、それぞれの店舗で可能な形での導入を促す。

今年の加盟店向け商品展示会では、従来のデモンストレーションから変更して、体験型で紹介する。「誰でもできるオペレーション」の実感が広まれば、拡大への弾みになりそうだ。

〈食品産業新聞 2018年8月27日付より〉