世界最大の「無印良品」 初の食品売場設置で想定以上の集客、生活雑貨にもシナジー効果/「無印良品イオンモール堺北花田」

「無印良品イオンモール堺北花田」店内 フードコートで食べて帰ることも可能。15時からビールも販売する。
〈“食”導入が生活雑貨にもシナジー効果を発揮〉
全世界で700店舗以上を展開する「無印良品」に今年3月、食品売場を設けた初の店舗「無印良品イオンモール堺北花田」(大阪府堺市北区)が誕生した。産地から直送する丸物鮮魚は圧巻の品揃えで、フードコートでは週末200杯売れる海鮮丼をはじめ、店内で販売する惣菜やグロサリーを食べて帰ることも可能だ。店内では自家製のヨーグルトまで作っていたが、9月末から冷凍食品の販売も開始した。デイリーの食を導入することにより、生活雑貨の売上も2~3割増とシナジー効果を発揮している。

同店舗は、約4300平方メートルの世界最大の「無印良品」だ。地域に密着した新しいビジネスモデルを探る中で食の分野に参入。生鮮3品や惣菜、フードコートを備えた食品売場を約400坪設けている。平均滞在時間は20分を超え、50~60代の来店客は通常の「無印良品」の約1.5倍と、客層を広げることにも貢献している。「無印良品イオンモール堺北花田」の松枝展弘コミュニティマネージャーは、「ローカルと食は切り離せない。地方ほど生産者と関係が深く、都会ではできないことを行いたい」と意気込みを語る。

松枝展弘コミュニティマネージャー

松枝展弘コミュニティマネージャー

〈農産は近隣の農家から直接仕入れ、店内で自家製ヨーグルトも〉
――食への参入について

これからのリテールの可能性、あるべき姿を考えた時に、地域でどういう店をつくるかが課題だ。ローカルで事業を行うには食は欠かせない。地方は生産者との関りが深く、生産者と一緒になって店づくりを行うことができる。食をきっかけにして、ライフスタイル分野にもシナジーを出す。食はデイリーなので来店頻度が高く、ついで買いによって掃除用品や収納用品など生活雑貨の売上も2~3割増になっている。

――売上構成について

食品と非食品の売上比率は50対50で、食品は生鮮3品(青果・精肉・鮮魚)で7割を占める。一番売れているのは、寿司や海鮮丼を含めた鮮魚だ。グロサリーは、今後学んで変更していく。素材を大事にしたよりいいものを選んで並べていきたい。たとえば水ナスの漬物はこの辺りの名産品だが、実は着色料を使っている。着色料なしで作ってもらうと大ヒット商品になった。

――各売場の特徴は

農産は、近隣の農家から直接仕入れている。売場では農具などでディスプレイを行い、農家を取材した様子の動画も放映。土日には店舗に来てもらい、マルシェを開いて生産者とお客を繋ぐことに力を入れている。

食品ビジネスは利益率が大事だ。顧客が価格だけでなく、五感で感じて購入したいと思うような空間演出や販促物の展開を行っている。適正な価格で売るにはしっかりと情報を届け、伝わる売場をつくることが重要だ。

鮮魚売場は丸物が人気で朝一番にお客が訪れる。相当な規模で展開しているが、基本は売り切る。近隣の岡田浦漁港や岸和田湾、明石に加え、境港や高知などの港からも直送している。マグロは高知から養殖業者に来てもらい解体を実施している。 畜肉も産地情報が大事で売場で伝えており、試食の実施や調理方法を紹介している。アグー豚などは売上も好調で、ローストビーフ丼の販売や、フランス製のマシンを導入してロティサリーチキンを提供している。

圧巻の鮮魚売場。漁港から直送する丸物は基本売り切る。

圧巻の鮮魚売場。漁港から直送する丸物は基本売り切る。

店内では自家製ヨーグルトも作っている。1日200杯ほど売れるので、今後はさらに拡充していく。

フードコートでは、店内で購入した惣菜を食べることができる。一番人気はリーズナブルな価格の海鮮丼で、土日には200杯以上売れる。15時からはビールを販売しているが、外国人が店内で購入した日本酒を飲んでいたりもする。お酒を飲めるフードカウンターを作ることも検討している。

グロサリーについてはセレクトしている。「堺」のマークで地域の名産品を多く仕入れており、調味料や発酵系の糠床セットなども、素材のおいしさや調理方法を紹介する「キッチンカウンター」で用いると完売する。

キッチンカウンターでは旬の素材を用いて調理方法の提案を行っている。

キッチンカウンターでは旬の素材を用いて調理方法の提案を行っている。

「無印良品」の商品のうち、チーズケーキやガトーショコラなどのチルド商品は、並べると即完売する状況だ。今月末からは、素材の味を活かした冷凍食品を販売開始する。自然食品を使ったものを中心に商品開発の幅を広げていきたい。

――計画と比べて

想定以上の客数だ。土日の入店は3万人規模で、レジ通過者は5000人を超える。地下鉄御堂筋線沿いなので来店しやすい。観光コースにもなっており、兵庫、京都、和歌山など予想以上に遠方から来ている。50~60代の来店客は通常の店舗の1.5倍ほどだ。「無印良品」の中心客層は30~40代が中心だったが、1つ上の世代が来てくれている。掃除用品や収納用品などの生活雑貨も通常の3割以上売れている。

スマホアプリ「MUJI passport」は、約1万8000人が当店をフォローしている。毎日3通の目玉商品が届くのが好評で、それを目当てに来店する人もいる。チラシではなく、スマホでタイムリーに届けている。配信は充実させていく。

――今後の店舗展開は

堺市は都市と田舎の中間の標準的な街で、ここで成功すればどこでも出店できる。第一号店としてふさわしいと考えた。協業モデルをつくれば、多店舗展開を行っていく。 当店では「無印良品」のコンセプト演出やパッケージ、商品セレクトを研究してくれる事業者と共同事業契約を行っている。世界中から一緒に取り組みたいという話が寄せられており、トップが訪れている。

事業者には店舗の中に入ってもらっているが、お客からは1つの「無印良品」の店舗に見える。単なるテナントだと、運営側が何も言えなくなるので、「無印良品」の運営に参画してくれるところと一緒に取り組んでいく。

〈食品産業新聞 2018年9月20日付より〉