コンビニコーヒーに新局面 上位2社がマシン刷新、ドリップが主流に

セブンの新マシンはタッチパネル式(都内で行われた発表会で)
〈ファミマがエスプレッソからドリップに切り替え〉
コンビニエンスストア(CVS)のコーヒーが新たな局面を迎えている。業界トップのセブン‐イレブン・ジャパンと2位のファミリーマートがこの秋、新コーヒーマシンへの入れ替えを相次いで発表した。ラテにこだわり、ラテに合うコーヒーとしてエスプレッソで差別化してきたファミマが業界標準のドリップタイプに切り替える。一方でセブンはボタンを押さなくてもホットとアイス、レギュラーとラージを自動検知し、抽出時間を2割短縮する最新鋭のマシンを導入する。

「ファミマカフェ」の18年度上期日商は、ブラックが前年比5%減、ラテ7%減、トータル6%減(フラッペ除く)と苦戦が続く。13年度の全店導入から5年が経ち、マシンの劣化で味にブレが生じてきたことが背景にあるという。

他のCVSの多くは日本人の嗜好に最も合うとしてドリップを選択している。ファミマはマシンの入れ替えにあたり、CVSコーヒーの主流がドリップという実情に合わせる。ラテにこだわってきた同社だが、きめの細かいミルクでドリップでもおいしいカフェラテが提供できるようになったと判断した。新マシンはメニューボタンが従来の2倍の16個あり、「濃いめ」も選択でき、エスプレッソを支持していた顧客にも対応する。今期中に約5400店に導入し、来期中に全店への導入を完了させる。

〈セブンは抽出時間を45秒から39秒に短縮〉
セブンの新マシンは、従来のボタン式から液晶のタッチパネルに変更した次世代型。カップをセットするとホットとアイス、レギュラーとラージを自動検知するため、ボタンの押し間違えがなくなる。モニターには英語表記もでき、インバウンドにも対応する。抽出工程の見直しで抽出時間を45秒から39秒に短縮した。清掃時に取り出す部品と拭く箇所を減らし、清掃時間を5分短縮して加盟店の負担も減らした。

ブラック専用マシンのみの入れ替えで、12月から新店と改装店から順次導入し、全店導入時期は未定。ラテ兼用マシンは当面従来型で据えおき、その間は自動検知のブラックマシン、ボタン式のラテ兼用マシンが混在することになる。

〈エスプレッソ抽出のラテはローソンのみに〉
一方でブラックにこだわってきたセブンが、この秋からラテの強化に乗り出している。ラテは全店導入から1年あまり経つが、「セブンカフェ」の販売数量に対する構成比は16%にとどまる。大手カフェチェーンではラテが約33%を占める。ブラックは購入客の7割が男性でリピート率は55%。一方でラテは6割が女性でリピート率は37%。女性への認知度が低く、「まだ伸ばせる余地がある」(高橋広隆商品本部マネジャー)という。

11月1日からミルクと抽出方法を見直し、泡のきめが細かくクリーミーなカフェラテにリニューアルした。同時に20~40歳代をターゲットにしたテレビCMも放映し、セブンアプリでカフェラテ1杯無料クーポンも配信。電子マネー「ナナコ」でセブンカフェを5杯購入するとブラック1杯無料またはカフェラテ100円引きのキャンペーンも展開している。

「セブンカフェ」の1店1日あたりの平均販売配数は約150杯でCVS業界では突出して高いが、ここ数年は頭打ちだった。ブラックは朝の売り上げが高いのに対し、ラテは14時以降の売り上げが高い。ラテを強化することで売り上げピークを1日2回作ることができる。来店頻度も高められ、販売杯数の上積みも期待できる。

ラテはミルクの品質管理が難しく、全店で販売するCVSは大手3社(セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソン)のみ。ラテで先行していたファミマがエスプレッソからドリップに変更したことで、ローソンのみエスプレッソ抽出になる。

〈食品産業新聞 2018年11月19日付より〉