〈セブンの既存店売上高は10期ぶりの前期比マイナス〉
主要CVS(コンビニエンスストア)6社の2020年2月期第2四半期決算(単体)は、業界トップのセブン-イレブン・ジャパンの既存店売上高が10期ぶりに前期比マイナスに転じた一方、業界2位のファミリーマート、3位のローソンはそろって既存店売上高を伸ばした。全店平均日販もセブンが前期より下げた一方で、ファミマ、ローソンは前期よりも上げた。セブンのひとり勝ちにストップがかかり、ファミマとローソンがトップとの差を縮めた。

既存店の業績は、客単価は全社2~3%増の範囲で差はない。客数は全社でマイナスだったが、落ち込みの大きさで格差が出た。セブンは3.1%減、ファミマは1.4%減、ローソン2%減、ミニストップ3.6%減、スリーエフ0.2%減、ポプラ3.9%減となり、3%以上減らしたチェーンは既存店売上高がマイナスだった。
コンビニエンスストア6社の2020年2月期第2四半期決算(単体)

〈業種業態を超えて競争が激化、ファミマは出店基準を厳格化〉
セブンは2008年2月期以降、商品力の強化や新サービスの導入で、女性やシニアなど新たな顧客を開拓し、10期連続で既存店の客数を伸ばしてきた。ただ、17年度下期から客数がマイナスに転じた。背景にあるのは、少子高齢化による市場そのものの縮小に加え、ドラッグストアやネットなど業種業態を超えた競争の激化がある。
 
また、東日本大震災で生活インフラとしてのCVSの地位が改めて見直されると、CVS大手がこぞって出店を加速させ、年間1000店規模の出店ペースを維持してきた。セブン-イレブン・ジャパンの永松文彦社長は、「まだセブンのない地域も多く、飽和ではない」と話すが、CVSは国内で5万5000店を超え、店舗密度の高い都市部では、明らかにセブン同士で客を食い合う状況も生まれている。ファミマの澤田貴司社長は「飽和」と明言し、出店基準を大幅に厳格化したことで、新店の日販の高水準を維持したことが全店平均日販の向上につながった。ファミマの新店日販は57万円でセブンの56万4000円よりも高い。
 
前年度下期に人手不足に悩むセブンの加盟店オーナーから、24時間営業維持の是非の課題が上がると、利便性の追求で成長を続けてきたCVS業界への風当たりが強くなった。また、セブンは7月からスタートさせたスマホ決済アプリ「セブンペイ」で不正アクセス事件が起こり、わずか2カ月でサービス廃止に追い込まれたことも、大きなイメージダウンにつながった。17年度下期以降に下がり続けている既存店の客数は、今期は下げ幅をさらに拡大させ、急激に客離れが進んだ。
 
セブンが苦しむ一方で、既存店の業績を回復させたファミリーマートも安泰ではない。旧サークルKサンクスからブランド転換した店舗の伸長が既存店の業績を下支えしており、それら店舗の伸び率も年々鈍化している。スリーエフも前期に全店で「ローソン・スリーエフ」へのブランド転換を完了したことによる日販の向上で、この効果も永久に続くものではない。
 
ファミリーマートはサークルKサンクスとの統合で、立地が重複する店舗などを中心に低収益店の閉鎖を進めたことで既存店の業績が上向き、営業利益が37.2%増の大幅な増益となった。しかし、営業利益の額ではセブンの3分の1以下、全店平均日販はセブンと10万円以上の開きがあり、格差が縮まったと言っても、まだ大きな開きがある。
 
〈省人化・加盟店オーナーの負担低減へ、IT化や契約パッケージ見直しなど施策〉
CVS各社は今年4月、政府からの要請もあり、加盟店オーナーとの関係改善、フードロス削減などの課題を盛り込んだ行動計画をそれぞれ発表している。人手不足の問題はCVS業界のみならず、高齢化と人口減少を抱えた日本全体の構造的な問題だが、CVS各社ではITを駆使した省人化や加盟店オーナーの負担低減などで克服を目指す。
 
ミニストップは粗利益からロイヤリティーを徴収する従来の契約パッケージを見直し、人件費などの経費を加盟店と本部で応分に負担し、最終利益を分け合う新パッケージを2021年度から導入する方針を示した。その第1段階として今期は、全店の約1割に相当する不採算店200店を閉鎖し、浮いたコストを加盟店支援に回す思い切った施策を断行した。
 
フードロス問題ではファミマは土用の丑のうなぎを完全予約制にした。売り上げは減ったが、廃棄ロスが8割減り、加盟店の利益も7割増え、同社の営業利益を押し上げた。ローソンも店内調理品の値引きによる売り切りを前期から推進し、廃棄ロスの減少と加盟店の利益の向上で、営業利益の増益につなげている。