〈東京駅27店舗で「きときと富山うまさ一番富山のさかなフェア」〉
JR東日本とJR西日本は、富山湾で朝水揚げした魚介類を北陸新幹線で輸送し、午後には東京駅構内の飲食店でメニューとして提供する取り組みを2月3日~29日の期間行っている。新幹線の定期列車を使うことで、トラックの半分程度に輸送時間を圧縮し、高鮮度の維持とトラックの運転手不足解消を目指す「新幹線物流」は、JR東日本が2017年から様々な形で実証実験を行なっている。JR2社にまたがるエリアで行なうのは初で、約1カ月間毎日行うのも初めて。

今回の企画は、北陸新幹線が3月14日で開業5周年を迎えることを記念して富山県の協力のもとで行う。「きときと富山うまさ一番富山のさかなフェア」と題し、東京駅の改札内外の飲食店27店舗で、新幹線物流で運んだ魚介類を使った38メニューを用意する。富山・新湊漁港で朝水揚げされた鮮魚は、富山駅10時05分発の北陸新幹線かがやき508号に積み込まれ、東京駅に12時20分に到着する。

輸送される魚種は、紅ズワイガニ、ニギス、ウマヅラハギ(カワハギ)、ヒラメ、スルメイカ、イイダコなど10種類強で、毎日6箱(約20~30kg)を、以前は車内販売の基地だったスペースを活用して運ぶ。JR東日本では19年3月以降、車内販売を縮小しており、空きスペースの有効活用にもつながる。現時点では運べる量は、新幹線の停車中に積み込める量に限られ、「座席を取り払って、貨物専用スペースを作るところまでは考えていない」(JR東日本担当者)という。

「新幹線物流」はJR東日本が17年7月、東北新幹線で実証実験を開始した。今年1~3月には、毎週金曜日に新潟の朝獲れ鮮魚を上越新幹線で輸送し、当日の14時半から東京・品川駅改札内「エキュート品川」で販売する定期販売の実験も行った。北陸新幹線ではこれまでに長野で収穫した果物を運ぶ実験を行っている。

今回JR西日本が「新幹線物流」に初参画した。JR北海道とJR九州も大手宅配業者と組み、自社営業管轄内での「新幹線物流」の実証実験を20年度から始めることを明らかにしている。

2月3日~5日には、東京駅前の商業施設「KITTE(キッテ)」で、富山の魚の加工品や地酒を試食・試飲販売するPRイベントが開催された。5日に行われた記念セレモニーで、石井隆一富山県知事は以下の通り話した。

▽富山県・石井隆一知事の話
富山県は、3000m級の立山連峰、水深1000m級の富山湾、これを直径40~50キロの富山平野がつなぐ大変ダイナミックな地形。かつ立山には年間5000ミリを超す雨と雪が降る。これは世界で最も雨が多いと言われているマーシャル諸島よりも多い。

その豊かで清らかな水が、富山平野を潤して、富山湾に注ぎこむ。水深300mぐらいまでは温かい千島暖流が入り込んでくる。300m以下は冷たい日本海固有水。富山湾は温かいところが好きな魚も、冷たいところが好きな魚もいる。

日本海には800種類の魚が生息すると言われているが、富山湾だけで500種類生息している。富山県は魚がおいしいということは知られてきたが、もっと東京の皆さまにアピールしたいとJRさんと相談し、せっかく北陸新幹線が通ったのでこれを活用することになった。

きときとは富山弁で新鮮という意味。紅ズワイガニやウマヅラハギなど大変おいしい魚が、まさに産地直送で運ばれてくる。この機会にぜひ楽しんでいただいて、新幹線で富山に行ってみようと思っていただけるとうれしい。

〈「べっ嬪さくらます」や「白えび」を提供/きときと富山うまさ一番富山のさかなフェア〉
JR西日本の前田洋明金沢支社長は、「私どももお手伝いしている『べっ嬪さくらます』を含めて富山の味を楽しんでいただき、新幹線で東京の方々が富山へ大挙するようになれば」とあいさつした。

JR東日本の小池邦彦東京駅長は、「昨年の台風19号では、(北陸新幹線の車両が水没した)ショッキングな画像に驚かれたと思う。3月14日のダイヤ改正で災害前の運転本数が確保できるようになる。富山までは2時間10分と近いので、これを機会にぜひ富山に出かけていただきたい」と話した。

東京駅構内の商業施設を運営するJR東日本グループの鉄道会館の平野邦彦社長は、「東京駅は様々な新幹線の起点で全国に通じている。鉄道会館では昨年から、全国のいいものを東京に伝えようという企画を進めている。今回のメニューをぜひ賞味していただき、ぜひ富山へ行ってみてほしい」と話した。
左から石井富山県知事、前田金沢支社長、小池東京駅長、平野鉄道会館社長

左から石井富山県知事、前田金沢支社長、小池東京駅長、平野鉄道会館社長

「きときと富山うまさ一番富山のさかなフェア」では、JR西日本と富山県射水市が協力して養殖する「べっ嬪さくらます うらら」を、押し寿司、カルパチョなどのメニューで提供する。
 
また、「富山湾の宝石」と呼ばれる「白えび」は、改札内「グランスタ」の「豆狸」が「白えびいなり」(216円)を1日限定100食、改札外「グランルーフ」の「天ぷら天喜代」で「白えびの唐揚げ」(600円)を1日限定10食など、手頃な価格で販売する。