大麦やお茶などの機能性農産物を使った弁当を60日間昼食に食べることで、内臓脂肪の減少や糖代謝の改善効果が認められた。農研機構食品研究部門(鍋谷浩志部門長)がこのほど行った研究成果展示会の公開講演会で山本万里氏(食品健康機能研究領域)が発表した。また、日本食をきちんととることの健康効果の可能性も示唆された。

山本氏はこの研究について「15年4月から導入された機能性表示食品制度の登録商品数はすでに1100品以上となり、トクホ商品数を超えるほど市場に浸透してきた。一方で単品の食材の機能性解明は民間企業、公立研究機関などで進められているが、農産物の複合的な健康維持・増進効果についての検討はほとんど行われていないのが現状。実際、食事として食べる場合は食材を組み合わせた効果を確かめることが必要と考えた」と述べる。

さらに「日本食の健康維持・増進効果のエビデンスが絶対的に不足している。PabMed検索すると地中海食は2042報もあるが、日本食は130報しかない。その結果、地中海食の健康効果は認められても、日本食の健康効果はあるかもしれない、程度」。そこで、機能性農産物(農研機構で論文発表済みのもの。機能性表示食品とは限らない)を使った「機能性弁当」をつくってヒト介入試験を行った。その結果、生活習慣病の予防効果を明らかにしようとした。また、「機能性農産物の輸出の可能性も高まる」という期待もある。

試験対象は内臓脂肪100平方cm以上の肥満傾向の健康な男女159人。弁当のごはん、副菜用食材。茶は別表の農産物を使い、20日分の主菜、副菜2品の献立を3回転して60日分とした。1食700kcalとした。

4群に分け、平日昼食事に弁当を12週間食べてもらった。群1はお茶だけ高カテキン緑茶(健康要素はポリフェノール)、群2はおかずだけ機能性農産物(同カテロイド)、群3は米飯だけ機能性(食物繊維)、群4は全て機能性。想定回数の80%以上を食べた人をデータ解析した。その結果、内臓脂肪は6週間後に全ての群で8~10平方cm減少し、さらに12週後には群3と群4は減少効果が維持された(有意差あり)。

「これは主食に効果があったと認められる。もし大麦米飯を週5日にしていたらもう少し効果が顕著だったかもしれない」と山本氏。もう一つ大きな効果があったのがカテキン茶の糖代謝の改善効果。「血糖値、ヘモグロビンA1Cが下がった(有意差はない)。また1,5‐アンヒドログルシトール(血中にグルコースに次いで多い糖)が大きく下がり有意差があった」と述べた。

さらに山本氏は「普段、昼食をあまり食べない人も試験に参加したが、バランスの良い昼食を取る食生活に変えたことが一つの要因と考えられる。特に女性に効果が表れた」という。この点については機能性食品よりむしろ、日本食をきちんととることの健康効果にもつながりそうだ。

最後に「こうした機能性弁当は健康維持にかなり有効な可能性があり、企業内給食、外食事業者などで活用していただきたい。今回の20回分の弁当の献立はお問い合わせがあれば公開している」と述べた。

〈食品産業新聞2017年12月11日付より〉