〈第48回食品産業技術功労賞〉栄えの6部門33件、独自技術駆使した新商品がヒット

食品産業新聞社が主催する第48回食品産業技術功労賞の表彰式が、受賞33件(34社)の代表および審査委員ら約180人が参加して11月7日午前11時から、東京・上野精養軒で行われた。表彰式では、弊社馬上直樹社長が受賞各社代表に表彰盾を授与、村上秀徳選考委員長が講評を兼ねあいさつした。受賞者を代表して神明の藤尾益男社長が謝辞を述べた。引き続き、記念祝賀パーティーが行われた。来賓の農林水産省大臣官房審議官兼食料産業局の倉重泰彦氏が祝辞を述べた。大冷の斉藤修社長が乾杯の発声をし、歓談が行われた。

◆第47回食品産業技術功労賞 受賞者一覧=https://www.ssnp.co.jp/tech_prize/2018-1023-1301-14.html

今回は6部門の33件が受賞、部門別内訳は商品・技術部門15件、資材・機器・システム部門6件、マーケティング部門8件、国際部門1件、環境・CSR部門1件、地方発部門2件。

今回、受賞した商品をみると、独自技術を駆使した新商品がヒットし、受賞につながったケースが目立った。その切り口は例年どおり、おいしさ、健康などが多いが、外食・給食の人手不足に対応した簡便・汎用商品も多い。

商品・技術部門では、おいしさを追求した「本麒麟」、高果汁系RTDの「アサヒ贅沢搾り」、PETコーヒーという新分野を開発した「クラフトボス」と今年を代表するヒット商品が受賞した。新技術がヒットにつながったのは、アイスを焼いた「ブリュレ」、『じゅわ旨っ製法』の「特から」。

健康を切り口にしたのは糖質ゼロのハム・ソーセージ「ヘルシーキッチンZERO」、バターなど4つの天然素材で作った新機軸スプレッド「明治スプレッタブル」、大豆ミートを活用した「ダイズラボ」、砂糖使用量を抑えられる小麦胚芽粉「スウィートポリフェ」。

簡便性をアピールしたのは、トンカツがこれ一つでできる「ラク揚げパン粉」、鮮度容器に液味噌を入れた「鮮度みそ」。外食・給食の人手不足に対応した、医療機関向けの自然解凍の魚調理品「楽らく柔らかシリーズ」。「ソシエル」は着色料、香料不使用の白色マーガリン、「マルボシ中華そば」はつゆがらみの良い『もみ切打ち製法』の乾麺。「セトデュール」は国産デュアル小麦の品種で新ジャンル・純国産パスタを切り開いた。

資材・機器・システム部門の無菌包装米飯製造システムは容器ごと炊飯する。ソフト制御による生産自動化事業は弁当の蓋掛けと箱詰め工程が評価された。穀粒判定器は画像分析技術で米粒の品質を判定する。「リブラ」は3D測定技術で豚肉・牛肉の定量スライスを可能にした。「楽ポン」はワンタッチで開け閉めできる惣菜用容器。フードファクトリー亀岡は医療・福祉食を日産5万食生産している。

マーケティング部門では、キユーピーがドレッシング60周年のプロモーション活動で成果を上げた。「シャルロッテ」はリブランディング活動で新発売チョコレートトップに。「JWINE」は国産ワイン、「からだシフト」は減塩食品で大手卸がメーカーをまとめてブランド化した。「SPICE&HERB」は特定料理用のシーズニングで売上を伸ばした。J-オイルミルズは家庭用食用油のフレーバー展開で新ジャンルを育成。FDFは日本初のロングライフサラダ。SABAR+は米消費拡大を目指し、鯖に特化した外食チェーンを構築した。

国際部門の伊藤ハムは国産牛肉輸出が好調。環境・CSRの不二製油は大豆ミートなど植物性素材で健康寿命延伸に努力している。

地方発部門は、かるしお認定商品で東北で活躍している銀河フーズと福岡発の異物判定キット「異物鑑定団」が受賞した。

【審査委員長あいさつ 食品産業センター理事長・村上秀德氏】

食品産業センター理事長・村上秀德氏

食品産業センター理事長・村上秀德氏

〈受賞作品は食品産業の底力、新しい技術・切り口で市場環境の変化に対応〉
受賞された各社に心からお祝い申し上げます。
 
第1回審査会は9月11日に行われました。事務局から品目ごとに説明を受け、審査員から疑問点、問題点などを指摘し、議論を行いました。それを受けて10月11日に第2回の審査会を行い、疑問点等を事務局から回答いただき、厳正に審査し、受賞対象を決定しました。 受賞作品については、いつも感じることですが、日本の食品産業においては、各種多様な商品が毎年のようにいろいろな工夫をして開発されています。その都度、新しい技術、切り口、コンセプトで市場環境の変化に対応して新しいニーズに適格に対応していくという努力がよくわかります。また商品だけでなく、マーケティングにおいても工夫がされています。こうしたことが食品産業の底力になっていると常々感じます。
 
また地方発や国際部門を見ても立派なテーマが受賞されています。ただ国際部門については、昨今の日本食ブームや輸出の伸びから見てもう少し受賞対象があってもいいかと思います。地方発については、日本の食品産業の太宗は地方における企業の活動であり、これが元気なことが非常に大切です。インバウンドとよく言われますが、各地に行った外国人旅行者がその土地の食文化に接することで、日本の食品産業の底上げにつながります。また、輸出や海外進出の糸口になっていくと思ます。
 
資材・機器・システム部門については、食品産業の基礎部分を支えるもので、それぞれの受賞企業が省力化や品質向上、安全性向上など商品の信頼につながる機器等を開発しました。改めて、受賞各社にお祝いを申し上げます。
 
〈食品産業新聞 2018年12月3日付より〉