本年2月、月刊メニューアイディア500号記念特別企画として「2025年問題を食から支える」鼎談会を開催した。団塊の世代(戦後のベビーブーム期(1947〜1949年)に生まれた世代)が75歳以上となる2025年には、国民の5人に1人が後期高齢者となり、在宅療養患者の数が増加することが予想されている。医療・介護福祉の需要が高まることは必須であり、2025年問題への対応をテーマにした鼎談会は読者の関心を引き大きな反響をいただいた。

更なる開催を求める声にお応えし、11月6日に第2弾鼎談会を開催した。前回同様、原正俊先生に進行をお願いして、今回はシダックスフードサービス(株)の高橋照夫常務取締役と、東京慈恵会医科大学附属病院栄養部の濱裕宣先生に省力化の取組みや人手不足対応、管理栄養士・栄養士の役割について議論いただいた。登壇いただいた3人は偶然にも佐伯栄養専門学校の同窓であり、和やかなムードで楽しく活発な意見交換が行われた。充実した鼎談模様をレポートする。

〈介護報酬・診療報酬改定と「配食事業の栄養管理に関するガイドライン」に注目を〉
議題に入る前に注目すべき国の新しい動きについて話したい。1つ目は、2018年度の介護報酬改定に向けた議論が本格化していることだ。3年ごとに見直され、今回は2年ごとに改正される診療報酬との6年ぶりの同時改定となる。医療と介護の連携を強化し、高齢者のニーズに合ったサービスを切れ目なく提供できる体制を構築するのが最重要課題である。

もう1つは、厚生労働省が進める「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方検討会」についてだ。高齢化が急速に進展する中で健康寿命の延伸を実現するには、生活習慣病予防とともに、社会生活を営むための機能を高齢になっても可能な限り維持することが重要であり、良好な栄養状態を維持する必要がある。

一方、ニッポン一億総活躍プラン(平成28年6月2日閣議決定) において、健康寿命の延伸に向けた具体的な施策として、「配食を利用する高齢者等が適切な栄養管理を行えるよう、事業者向けのガイドラインを作成し、2017年度からそれに即した配食の普及を図る」ことが盛り込まれた。

これらを踏まえ、今後利用の増大が見込まれる配食の選択・活用を通じて、地域高齢者等の健康支援につなげるため、平成28年7月から地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理の在り方について検討が重ねられ、平成29年3月に検討会報告書として取りまとめられた。この検討会報告書を踏まえ、事業者向けに「地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理に関するガイドライン」も策定され、実施の具体策は現在検討が進められている。

高橋 単身や高齢者のみの高齢世帯が増加する中、買い物難民の増加や、調理など食事の用意に援助が必要な状況も生じている。既製品や簡便な食事サービスが今後さらに求められてくると思う。

確かにニーズは相当あると思う。

人手不足で大変だと思うが、給食企業の新たなビジネスチャンスになると思うのでこの動きにも注目して欲しい。

〈高齢化で嚥下調整食のニーズは拡大、塩分調整とエネルギー補填が重要〉
はじめに、病院・高齢者施設における食事の工夫点について話し合いたい。濱さん、慈恵医大病院の患者さんは高齢化していますか?

当院は都心にあるので、患者の年齢は比較的若いが、関連機関の柏病院及び第三病院は逆に、お年寄り以外いないと言っても過言ではない状況だ。高齢者食は、軟菜食や嚥下対応のための食事を指すけれども、今後、高齢者食を一般常食にして、若い方が入院した際に“若者食"を提供した方がいいかもしれない。それくらい高齢化は進展しており、特別な形態加工を要するミキサー食やきざみ食、嚥下食の提供が増加していることが課題だ。

高橋 病棟訪問で患者の食のニーズを探ってみると、個人個人で硬さにバラツキがあり、ニーズがどんどん拡大していくので、形態のバランスをとるのは難しい。

ミキサーにかけると、特に肉類は硬くなってしまうので改善したい。あと、当院の食事は他の病院の嚥下対応食に比べて、味が薄い。

高橋 高齢者は加齢とともに味覚が低下してしまうので、味をしっかりつけないと、食材の差異が分からない。メリハリを付けることが必要かもしれない。

確かに薄味は健康に良いが、薄味にした結果、食べてもらえなければ意味がない。食べてもらうためにも、多少、濃い目にするなど適切な判断が必要だ。

嚥下対応食はエネルギー量が足りなくなるのが課題だ。マクトンオイルやマクトンパウダーなどを活用して、必要な栄養素を補っている。

高橋 受託している高齢者施設では、パン粥を朝食に提供している。牛乳やバターに浸しているため、エネルギー量が高くて食べやすい。施設だけでなく病院でもニーズが拡大しており、お年寄りも結構食べてくれる。

「国民健康・栄養調査」の結果をみると、エネルギー量が少ない人ほどBMI の値が低く、低栄養の危険性が高まる。十分なエネルギーの補填と塩分調整による喫食量増加に配慮し、嚥下対応食を提供して欲しい。

〈「給食雑誌 月刊 メニューアイディア 2018年増刊号」特別企画 鼎談会「2025年問題を食から支える」より抜粋〉