〈フードシステムソリューション2018〉学校給食・病院・惣菜工場など大量調理向け専門展、注目の厨房機器が多数

タニコーは総合厨房管理システム「ハサウェイ」を中心に展示
〈温度の自動記録と一元管理でHACCP対応/タニコー〉
タニコー(株)はスチームコンベクションオーブンやアクアガスオーブンなど最新の厨房機器とともに、総合厨房管理システム「ハサウェイ」を紹介した。これは、一般衛生管理やHACCP において必要な温度記録を自動で一元管理するシステムで、調理レシピから、温度管理が必要な箇所の指示書を作成、規定温度外の温度が測定された場合は、管理画面で自動警告する機能を持つ。

また、測定した厨房室内の温湿度や調理工程内の温度データから日報、月報を自動作成できるので、記録・帳票作成の手間をカットできる。「HACCP の制度化により、学校・病院・施設など給食現場は記録・帳票管理の対応に追われ大変。それらの課題を一括して管理できるシステムを提案し、現場をサポートしたい」。(同社)

それらの機能に加え、他社にない機能が厨房機器の稼働管理だ。厨房機器の運転状況(稼働中の運転モード)を表示でき、厨房機器の運転時間、定期交換部品の経過時間を管理し、事前に効率的なメンテナンス計画を立てることができる。同社は来場者の反応を受けて、来年の厨房設備機器展につなげるという。

「ハサウェイ」管理画面

「ハサウェイ」管理画面

〈ニュークックチルシステムで運営を効率化/ニチワ電機〉
ニチワ電機(株)は料理を冷蔵から自動再加熱する「スチコン式再加熱カート」と「リヒートウォーマーキャビネット」を出展。ニュークックチルシステム導入による食事サービスの向上と運営の効率化を提案した。

「スチコン式再加熱カート」

「スチコン式再加熱カート」

一般的にクックチルシステムでは、加熱調理・急速冷却・チルド保存・再加熱までの一連の工程をホテルパンに料理がセットされた状態で行うが、ニュークックチルシステムでは、加熱調理・急速冷却した料理を、提供する食器に盛り付けた状態でいったんチルド保存する。その後、専用の再加熱機器にセットして、機器内で冷蔵保管後、提供時刻までに自動で再加熱を実施。事前調理が可能となるので、〈1〉早朝出勤の緩和(提供前に盛り付け作業がない)〈2〉適温による食事提供〈3〉衛生管理の向上(HACCP 概念に準拠した食品の温度管理を実施)――など様々なメリットがある。
 
なお、「スチコン式再加熱カート」は温・冷同時セットで、再加熱後の作業は不要。「リヒートウォーマーキャビネット」は温菜のみの再加熱対応機器で、デイサービス向け、中規模施設向け、大量調理向けと施設規模に応じて3シリーズで展開している。

「リヒートウォーマーキャビネット」

「リヒートウォーマーキャビネット」

〈微酸性電解水で殺菌・除菌/サラヤ〉
サラヤ(株)は「微酸性電解水サニテーションシステム」と「個室トイレ内手洗いシンク」を提案した。微酸性電解水は食中毒原因物質に対して殺菌・除菌効果のある水で、食品添加物の殺菌料にも指定されているため、野菜の洗浄・殺菌はもちろん、まな板やシンクなど器具への殺菌・除菌にも高い効果を発揮する。

「微酸性電解水サニテーションシステム」

「微酸性電解水サニテーションシステム」

殺菌時間が短いことから、作業が効率化され、作業時間と使用水量を改善し、コスト削減にもつながる。同社によると、近年、給食業界の認知度も高まり、学校給食センターや病院・施設でも導入が増えているという。理由は、10~ 30ppm という低い塩素濃度で人・食材・環境にやさしく、安心して使えることだ。また、殺菌作用時の刺激が弱く食品の細胞を傷つけにくいため、品質劣化が次亜塩素酸ナトリウムと比べて少なく、食材の食感を活かす点もあるという。微酸性電解水生成装置「ピュアスター」は電解水の使用量に応じて多数展開している。

「個室トイレ内手洗いシンク」

「個室トイレ内手洗いシンク」

〈食材の配送前に異物検知/中西製作所〉
中西製作所は、食材の配送前に異物検知ができる「異物検知システム Nキューブポット」を紹介した。

「異物検知システム Nキューブポット」

「異物検知システム Nキューブポット」

Nキューブポットに食材を入れて、(株)イシダによる「X線異物検知器」に通すと、ポット内の透過画像が検知器に送られ、検知器の画面で異物があるかないかが即座に分かる。透過画像は保存可能なため、異物混入が起きた場合の事故原因の追究も可能だ。給食施設の異物混入の問題に対応し、食の安全・安心をサポートする。
 
なお、Nキューブポットに使用している樹脂は耐熱性、耐薬品性に優れ、臭い移りや着色のしにくい特殊樹脂で、洗浄機・消毒保管樹にも対応している。

「X線異物検知器」

「X線異物検知器」

〈多機能機器、バリオクッキングセンター/フジマック〉
(株)フジマックは「茹でる」「焼く」「炒める」「煮る」「揚げる」、さらに圧力調理も一台でできる万能調理機「バリオクッキングセンター」を使った調理実演を通して、様々な調理の汎用性を訴えた。
 
アイコン操作で簡単に調理ができ、特に圧力調理は高齢者の食事に最適。魚の骨まで軟らかく煮たり、豚の角煮など時間のかかる料理を約半分の時間に短縮できる。省エネや省力化に効果がある他、いろいろな調理機を置く必要がないため、厨房環境のスリム化も実現する。発売後、グッドデザイン賞を受賞する秀逸なデザインも好評である。

「バリオクッキングセンター」

「バリオクッキングセンター」

〈短時間でノロウイルス対策/キユーピー〉
キユーピー(株)は、エタノール製剤・日持ち向上剤製剤「リゾパワーNV」を展示・紹介した。同社が独自加工した卵白リゾチームを配合した製剤で、食器、調理器具(包丁・まな板)、電子レンジなどのキッチン周りや、人の手が触れるドアノブ、手すり、汚れが気になる場所のウイルス、細菌の除去等に活用でき、短時間でノロウイルス等のウイルス不活性化効果が期待できる。食品添加物なので食品に混入しても問題はない。
 
また、食品製造の品質管理や品質保証をサポートする「キユーピーエキスパート品質サポート」も紹介した。「創業100年で培った経験や知恵を紹介する。HACCP やFSSC、ISO などの資格取得だけでなく、働く方が業務を問題なく遂行できるよう、会社の力になれるようサポートしている」。(同社)

「リゾパワーNV」

「リゾパワーNV」

〈給食雑誌「月刊メニューアイディア」2018年11月号より〉