注目集まる「特定技能」による新たな外国人材受入れ、制度と課題とは

就労が認められる在留資格の技能水準(法務省資料より)
「特定技能」による新たな外国人材受入れの制度が4月からスタートした。昨年12月の臨時総会で出入国管理改正法が成立し、各省庁は連携して出入国環境の手続きの整備や試験の実施対策等の準備をすすめている。2月から3月にかけて、農水省は制度概要の普及・推進に向けて、各地でブロック説明会を開催。飲食料品製造業分野における第1回説明会には参加申し込みが殺到し、開催1週間前には受付を終了した。満員の会場と飛び交う質問の多さに食品業界からの注目度の高さが見て取れた。

特定技能1号は、通算で最長5年在留が可能で、技能実習を修了した外国人が、特定技能に移行した場合は、最長で10年間在留できる。また、技能実習では企業の従業員数で実習生の定員が定められていたが、特定技能には人数枠の上限はない。

基本的には、技能水準を試験等で確認後、在留が可能となる制度だが、技能実習2号を修了した外国人は試験が免除されることがこの制度の大きなポイントであり、飲食料品製造業への移行が認められている技能実習2号の移行対象10職種・15作業で2号を修了した人は特定技能1号の飲食料品製造業への全ての分野に就労できる資格を得るので、それまで例えば、缶詰巻締、パン製造、農作物漬物製造業等の職種で技能実習2号を修了した人が、特定技能1号の飲食料品製造業に移行し、そう菜製造に取り組むことも可能である。つまり、ある程度の技能を持つ経験のある人を即戦力で雇用することができる。

上記のとおり、在留可能年数や雇用人数枠の制限がないなど企業側の利点が大きい制度であるが多くの課題が山積している。外国人に日本を、飲食品製造業や外食業といった各種業態を選んでもらえるのかといった根本的な課題や、外国人とのコミュニケーションの問題があり、マニュアルの整備や教育制度の確立も一層求められることだろう。

日本は島国で、欧米やアジア諸国に比べて外国人と働くことが不慣れかもしれないが、外国人とともに生きる意識改革が必要である。今年初めに、某企業の家事代行サービスの広告で「外国人スタッフなので気遣いは不要」という表現が、人種差別発言として問題になった。広告はフィリピン人スタッフによる家事代行サービスに関するもので「外国人スタッフなので『会話の内容を聞かれてしまう』『手紙や書類を見られてしまう』といった心配はございません。日本人スタッフだとどうしても気にしてしまう『気遣い』も不要です」という表現に対して、「失礼」「腹立たしい」と批判の声が挙がった。

同社は謝罪とともに広告を削除したが、この問題は氷山の一角だろう。外国人労働者を単に労働力と考えていると、今後も同様の問題が起こりかねない。「外国人だから」という受け入れ側の意識のままで受け入れてはいけない。外国人が心地よく働けるのかの視点を持ち、選んでもらえる努力が重要である。

説明会では、食料産業局の阿部徹食品製造課企画官が、技能実習から特定技能への移行に触れて、「派手にやりすぎると、飲食料品製造業の中で技能実習生の奪い合いになる」と危惧していた。

人材不足が加速するなか、業界内外で外国人の奪い合いが始まるかもしれない。外国人に選ばれる食品企業が増え、業界が活性化することを期待したい。