第7回「心に残る給食の思い出」作文コンクール、アレルギー克服記に文科大臣賞/日本給食サービス協会

〈1965作品から入賞10作品を表彰〉
日本給食サービス協会は14日、第7回「心に残る給食の思い出」作文コンクールの表彰式及び祝賀パーティを東海大学校友会館(東京・霞ヶ関)で開催し、応募総数1,965作品の中から選ばれた10作品を表彰した。

作品はどれも、子どもの給食が大好きな気持ちでいっぱいだ。親友と取り組む楽しい給食当番、月1回の「世界グルメツアー」給食のおいしい冒険、大好きな「いもまん」、給食センターの見学で知った大量調理の工夫、給食で知った郷土料理「かみなり汁」の作り方を調べて家族に食べてもらった喜びなど、様々な切り口で給食の思い出が書かれており、家族・友だちを思いやる気持ちや調理員・栄養士・生産者への感謝の気持ちを見事に表現している。

文部科学大臣賞の作品『二つの味を楽しむ給食』は、「調理員さんの味」と「お母さんの味」の2つの味を通して給食を楽しみ、前向きに食物アレルギーを克服しようとする真摯な思いが表現された作品。

作者の芥川瑛亮くん(小学5年生)は、幼い頃から小麦や卵などにアレルギーがあるため、学校の友だちと同じ給食を食べられない日は、母親がその日の献立に合わせて小麦や卵を使わない食材で作ったお弁当を持参していた。小学校入学当初は「一人だけお弁当を食べるのが恥ずかしい」と言っていたこともあったが、「いつかみんなと同じ給食を食べたい」という強い思いで検査や負荷試験を続けて、少しずつ給食が食べられるようになった。アレルギー克服については、食べられる調味料や使われている成分を細かく教えてくれた栄養教諭に感謝の気持ちを抱き、「卵抜きのチャーハン」や「米パン粉を使ったコロッケ」「小麦抜きのつくね」などのメニューを紹介して「今では、毎月のこん立てを見るのが楽しみ」と綴っている。

給食は食事の大切さを学べる最高の場所農林水産大臣賞に輝いた『オラッチェとともに』は、大好きな給食の自慢をリズミカルな言葉づかいで楽しく表現した作品。「ぼくの考える学校給食とは、楽しく食べること。食事の大切さを、みんなで学べる最高の場所なんだ」と位置付け、力強く給食の魅力を伝えている。

審査委員会委員長を務めた全国学校栄養士協議会の長島美保子会長は、「皆さんの作文は、まず題名が素敵。題名を読んだだけで何が書いているのかワクワクする。食べることの大切さや栄養士さんや調理師さんとの交流、食の学習を通じた日本の食文化や引き継いでいきたいことなどを、いろいろな角度から捉えて表現している。また、給食を通して、ケンカをしていた友だちとの友情が復活するなど、栄養を身体に補給すること以外の心を養う面での給食の役割も表現されていて良かった」と高く評価し「毎日の給食の時間の体験を実にイキイキと表現していて、とっても幸せな気持ちになった。この栄えある受賞の喜びを学校の友だちに伝え、皆さんの『給食大好き』をたくさんの友だちに広げて欲しい。私たち、日々学校給食を作る者にとって、給食大好きな子どもたちがたくさん増えることが一番の励みだ。そんな皆さんの思いに応えられるよう、これからも美味しい給食作りに頑張りたい」と述べた。

主催者である日本給食サービス協会の西剛平会長(レパスト社長)は「協会が作文コンクールを実施する狙いは、次代を担う子どもたちの成長や食育の大切さの他にもう一つある。それは、作文を読む機会を得ることで、裏方として毎日給食の調理業務に携わっている調理員・栄養士さんたちの大きな励みになることだ」と意義を語り、「調理員・栄養士さんが仕事を頑張る心の拠り所には、自分が作った給食を食べる子どもたちの笑顔や成長がある。作文を通じて、こうした調理員・栄養士の気持ちに少しでも気付いてもらえたら嬉しい」と話した。

◆作品閲読=日本給食サービス協会「給食のひろば」
http://www.jcfs.or.jp/lunchsquare/sakubun.html

〈冷食日報 2019年12月27日付〉