日清医療食品と榊原記念病院、心臓病予防に減塩食と運動の重要性訴える

心臓病を予防する食事と運動について学ぶ
〈19年12月の脳卒中・循環器病対策基本法施行にあわせ〉
日清医療食品と心臓の専門病院である榊原記念病院(東京都府中市)は2月8日、「心臓を守る健康レシピ」イベントをNU dish Deli&Café(東京・銀座)で開催した。日々の食生活や運動習慣を見直すことから身近な心臓疾患対策を図ることを広く伝えるためイベントを企画。心臓疾患を罹患している方やこれから予防する方など45人に、心臓病に関する基本的な知識や心臓を守る運動のレシピを紹介、調理実演・試食を通じて心臓病を予防する減塩の重要性を訴えた。

日本では高齢化や生活習慣病の増加により脳卒中と循環器疾患による死亡者が増えており、心臓疾患が第2位、脳血管疾患が第3位となり、合計で死亡原因の23.5%を占めている。(2017年度人口動態統計より)19年12月には脳卒中・循環器病対策基本法が施行され、今後、心臓病や脳卒中など循環器疾患に関する教育・予防が、がん同様に強化される見通しだ。

冒頭、磯部光章院長は増加傾向にある心疾患・脳血管疾患について、その原因と対策を具体的に説明した。「心臓病になる原因の多くは、高血圧と心筋梗塞である。心臓の機能障害が起こり心不全になっても治療はできるが、高血圧や動脈硬化になる前の段階で予防してほしい。基本は健康な食事と運動である」と述べ、若い頃から適切な食生活、運動習慣を身に付け、禁煙することや、検診や人間ドックで心臓病、動脈硬化の早期発見・早期治療に取り組むことを訴えた。

健康な食事については、「テレビでよく健康に良い食品や悪い食品が紹介されるが、心臓に良い食品というのは、これを食べた方がいい、食べない方がいいというものは無い」と断言。「バランスの良い多数の食品を、薄味で、おいしく、腹8分目まで、ゆっくり食べて満足感を得ることが健康的な食事の秘訣である」と強調して、レシピ紹介にバトンを渡した。

榊原記念病院の「心臓を守る健康レシピ」は、茶飯(ほうじ茶)、具だくさん汁、ぶり大根、鶏肉のプロバンスソース、ナムル、トマトのマリネ、豆乳プリンの7品。日清医療食品の専門スタッフが企画し、榊原記念病院の管理栄養士が監修した。食材はスーパーで購入可能なものを選定し、家庭で提供できる内容を考慮した。

榊原記念病院の生島まほろ管理栄養士は「心疾患の原因である高血圧の予防を考えて減塩をテーマにした。減塩は、心臓病や脳卒中などの死亡リスクを低下させる効果や、降圧薬の効きを良くするといったさまざまな効果が期待される。動脈硬化のリスクがある動物性脂質もできるだけ抑えている」とレシピの特徴を説明した。

「心臓を守る健康レシピ」例

「心臓を守る健康レシピ」例

 
参加者からは「全部で塩分が1.7gとは思えない」、「塩分が少なくてもおいしい。家でも作りたい」「減塩の食事がこういうものだと身をもって分かった」という声が相次ぎ、中には「今日の話を若い時に聞きたかった」と話す方もいた。「簡単にできる減塩の調理法はないか」という質問には、日清医療食品東京支店の田中大輔調理インストラクターが回答。「料理の表面に塩分の膜を作ってあげるイメージで、少量の調味料で味を整えてあげることがコツだ。塩分は普段使っている半分量になり、必然的に減塩食になる」と提案した。
 
日清医療食品東京支店の渡辺修支店長は「私たちには食事サービスを通して人々の健康を支える重要な使命がある。健康な食事の提供とともに、病気を予防するためにはバランスの良い食事と適度な運動が大切であることを伝えられるようこれからも努めていきたい」と抱負を語る。今後も、榊原記念病院とともに「心臓病をもつお子さんの食事」、「心臓手術を受けた方の食事と運動」、「心不全の再入院を避けるためのレシピ」、「産前産後の食事」、「補助食品は心臓を守ってくれるのか」、「誤嚥を防ぐ心臓病の人のための介護食」などのテーマでイベントを継続していく予定だ。