ハウス食品の社員食堂に「サステナブルフード」提供、健康と環境意識を醸成/シダックス

ハウス食品の社員食堂で「サステナブルフード」が提供開始
シダックスコントラクトフードサービスは、環境や動物福祉に配慮した持続可能な体制で生産・加工された食材を「サステナブルフード」と名付け、10月11日から受託運営する社員食堂で提供を開始した。

毎日の日替わりメニューに取り入れ、継続的に環境に配慮した食事提供を行うことと、食事を通してSDGsを発信することが狙い。全国に先駆けて導入したハウス食品大阪本社を訪問すると、当日のサステナブルフードメニュー「チキンストロガノフ」は真っ先に完売した。

社員食堂をよく利用しているハウス食品グループ本社総務部の城谷実怜さんは「環境に配慮しつつおいしいのは一石二鳥だと思う。社員の意識改善にもつながる」と取り組みを称賛した。

〈社員食堂で健康と環境意識を醸成〉
ハウス食品グループは2013年の持株会社体制移行のタイミングで東大阪市御厨栄町にある大阪本社を全面的に建て替えた。5階に設置された社員食堂は見晴らしが良い快適空間。2021年8月に発表された第5回「健康な食事・食環境」(スマートミール)認証制度において、2つ星を獲得している食堂である。

現在の平均出社社員数約200人のうち、食数は多い時で約150食。コロナ禍でも出勤者の半数以上が食堂を利用しており、イベントや特別なメニューのときには出勤者が増えることも。毎日の健康に配慮したおいしい食事は社員の心と身体に癒しを与えている。

同社では、事業活動の根幹に「3つの責任」、すなわち「お客様への責任」「社員とその家族への責任」「社会への責任」を置いており、このテーマに真摯に取り組むことが、SDGsが目指す「持続可能な社会の構築」に貢献することにつながると考えている。

そのうち、「社員とその家族への責任」においては「社員食堂の活用が欠かせない」と人事総務部労務課長兼健康推進チームマネージャーの藤原大輔さんは語る。「社員の働きがいのベースにあるのは心と身体の健康。普段の食事から啓発することが健康意識醸成の近道と考え、シダックスさんと一緒に社員食堂で様々な健康施策を実施している」。

今回のサステナブルフード導入については「いいタイミングでいいアイディアを提案いただき、ぜひ一緒に取り組みたいと思った。健康意識が高い社員も多いので、環境にやさしい食材の提供は今後も注目していきたい。社員食堂でこうした食材を活用することで、社員の新たな気付きにつながれば」と期待をかける。

〈社員食堂でSDGsが身近に感じる〉
提供メニューは、主に〈1〉GAP食材〈2〉肉代替食材〈3〉「ブルーシーフード」の3つ。国際基準の認証を取得した養鶏場のブラジル産鶏肉で作った「鶏肉の塩麹焼き」や、大豆ミートを使用した「麻婆茄子」など100種類以上を用意して、飽きのこない社員食堂の楽しさを創出する。

〈1〉GAP食材のG.A.PはGOOD(適正な)、AGRICULTURAL(農業の)、PRACTICES(実践)のことで、農業において食品安全、環境保全、労働安全等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取り組みを意味する。

〈2〉肉代替食品は植物を主原料とした代替肉の中でも大豆ミートを使用。

〈3〉ブルーシーフードは持続可能な漁法が確立されている地球にやさしいシーフードを示し、資源状態、生態系への影響、管理体制の3つを科学に基づき厳正に審査したイワシやサバ、鮭、タラなどの魚種を採用している。

食堂訪問日には、サステナブルフードの鶏肉を使用した「チキンストロガノフ」が提供され、ランチタイムの後半に差しかかるといち早く完売した。同メニューは、副菜と組み合わせるとスマートミールの基準も満たす栄養にも配慮されたメニューである。食堂の利用者は年齢・性別関係なく、小鉢やサラダを積極的に選ぶ健康志向の高い人ばかり。スマートミールの認証を受ける中で、社員からも「食堂が良くなった」「おいしくなった」という声が聞かれるそうだ。

「サステナブルフード」を使った「チキンストロガノフ」のスマートミール

「サステナブルフード」を使った「チキンストロガノフ」のスマートミール

 
シダックスコントラクトフードサービスの古谷竜二調理師と二木星奈管理栄養士に話を聞くと、サステナブルフードは下処理に時間と手間がかかり、そうした通常にない工程をしっかりこなし、おいしさを創出しているという。
 
二木管理栄養士は「サステナブルフードだから食べたいと思ってもらえるよう献立を工夫したい」と意欲をみせる。特に大豆ミートは「味はお肉と大差ないが、栄養面が優れているのは良い。家庭であまり食べる機会が無い中、社員食堂で食べてみようと思う方もいると思う。そうした方においしい食体験を提供したい」と述べ、大豆ミートを使ったミンチとほうれん草と炒り卵を乗せた三色丼の提供など、新メニューも考案しているという。
 
サステナブルフードを食べたハウス食品グループ本社総務部の城谷実怜さんは、「ヘルシーメニューだから薄味と思っていたが、実際食べるとおいしかった。環境に配慮しつつ、かつおいしいのは一石二鳥だと思う。SDGsという言葉を知っていてもそこまで実感はなかった。毎日の社員食堂でSDGsが身近に感じる。社員の意識改善にもつながると思う」と感想を述べた。
 
シダックスグループは社員食堂におけるサステナブルフードの提供に注力するなど、今後もSDGsの視点でフードサービスを推進していく考えだ。