外食2月期、コスト増も9社で増収増益

外食企業の2015年2月期決算は、昨年より2社増え、17社中9社が増収増益だった。食材費や人件費の増加など収益を圧迫するリスクが存在したものの価格改定やメニュー施策で乗り切った。外食産業を取り巻く環境は急激な円安による原材料価格の高騰、雇用環境の変化に伴う人材コストの上昇、人手不足など、先行きに不透明感が増している。蓋を開けてみると2月期に限っては、懸念された消費増税の影響も軽微に留まり、収益改善が進んだ。

既存店売上高が前年より増加した主な企業は吉野家ホールディングス、セブン&アイ・フードシステムズ、リンガーハット、柿安本店、ハイディ日高、ハブなど。

トップの吉野家ホールディングスは、連結売上高が初の1800億円を突破した。牛肉価格の高騰を価格改定や販売施策で吸収した「吉野家」が増収増益、「はなまる」「どん」「京樽」も増収となり、全セグメントで前年の売上高を上回った。主要事業会社の「吉野家」は、14年4月から熟成牛肉を導入するなど品質向上への取り組みが奏功し、既存店売上高は前期比1・2%増。熟成牛肉を使用した「牛すき鍋膳」などの鍋膳も好調だった。

ドトール・日レスホールディングスは、前期に引き続き成長株「星乃珈琲店」の出店数増加が収益拡大に大きく貢献した。その一方、ドトール、日レストータルの既存店売上高はそれぞれ前年を5%程度下回るなど、4月の消費増税後の客足低下で下振れした。「星乃珈琲店」は15年度も40店強の出店を予定(グループ全体では100店の出店を予定)しており、出店攻勢を強めていく。

売上高、経常利益とも過去最高を更新したクリエイト・レストランツ・ホールディングスは、昨年M&AしたsFPダイニングの利益が好業績に結びついた。sFPが手掛ける24時間営業の海鮮居酒屋「磯丸水産」が好調で、出店前倒しが売上に寄与。15年度も「つけめんTETsU」を運営するYUNARI社を子会社化するなど国内M&Aの実施を引き続き進め、同社グループへの連結貢献を目指す。

柿安本店は、成長ドライバーに位置づける和菓子事業のセグメント利益が2倍強となり、増収増益を下支えた。リンガーハットは、ちゃんぽんの「リンガーハット」、とんかつの「浜勝」ともに既存店は増収だった。消費増税後の落ち込みを価格改定、メニュー施策で乗り切った。

既存店売上高が前年比3・8%増となったパブ業態のハブは、5年連続で既存店売上高の前年超えを達成。客足の落ち込みから居酒屋業界全体が低迷を脱し切れないなか、営業利益率も7%と高水準を維持した。ただし既存店の改装や人件費、食材コストの増加から利益は前年を下回った。収益圧迫の懸念は15年度も続くことから、6月のグランドメニュー改定時には価格引き上げも予定している。

同じく減益となったプレナスは、アルバイトの給料と募集費の増加が利益に大きく影響した。セブン&アイ・フードシステムズも人件費などの経費増加により営業利益は前年を下回った。ただし、質を高めたメニュー施策が功を奏し、既存店売上高は前年を上回って推移した。

7月期、8月期の中間決算は、居酒屋の鳥貴族が新規上場、サイゼリアは海外売上比率が2割を超えるなど、中国国内店舗の増益が収益を押し上げた。