外食2月期 増収増益企業 前年より1社減

円安による原材料価格の高騰や人材コストの上昇など外食企業を取り巻く環境が、より一層厳しさを増している。このほど出揃った外食企業の2016年2月期決算は、増収増益(営業増益)企業が昨年より1社減り、17社中8社だった。円安を背景に食材価格は高騰し粗利は減少、人手不足を起因とする採用費のアップ、パート・アルバイトの時給引き上げは利益を大きく押し下げた。店舗拡大などにより売上高は増加するも営業利益は前年割れで、大手を中心に前年以上に厳しい決算となった。

トップの吉野家ホールディングスは、増収大幅減益となった。「吉野家」のセグメント利益が24・8%減と前年を大きく割ったことが要因。前年伸長した好採算の「牛すき鍋膳」が振るわず、輸入牛肉の在庫について評価損を計上した影響で、「吉野家」は大幅減益となった。「4年ぶりに投入した豚丼が好調。4月の客数は前期比36%増で推移している」(河村泰貴社長)とし、「豚丼」を起爆剤に17年2月期は増収大幅増益を見込む。

減収減益となったプレナスは、2事業(ほっともっと、やよい軒)の既存店売上高がともに前年未達だった。食材価格の高騰を要因に期初に価格改定を実施したため、客数の落ち込みに繋がった。

ドトール・日レスホールディングスは、コーヒー豆など円安の影響を受けた原材料価格の高騰による粗利の減少が大きく、人件費および販管費の増加により営業利益は減少した。「星乃珈琲店」の店舗拡大により全店売上高は増加したが、既存店は未達。同業態はオープン景気が一巡し反動減もあり既存店が減少しているが、高単価メニューがけん引し営業利益は増加した。

柿安本店は和牛価格の高騰が響き、営業利益が前年割れとなった。和牛価格の高騰による原価率上昇への影響額は2億円。売上高は2期連続の過去最高となったが、精肉・惣菜・和菓子・レストランの4事業トータルの既存店売上高は0・8%減となった。過去3年間で90店舗を出店するなど成長ドライバーに位置づけ急拡大した和菓子の「口福堂」が苦戦。「口福堂」の今期出店予定は5店舗で、店舗オペレーションの改善、商品のブラッシュアップを進めることで巻き返しを図る。

一方、既存店が好調に推移し、増収増益で着地したのは、セブン&アイ・フードシステムズ、クリエイト・レストラン・HD、リンガーハット、ハイディ日高屋、ワイズテーブルコーポレーション、ハブなど。

「デニーズ」などを展開するセブン&アイ・フードシステムズは、高単価メニューの販売が好調だった。

リンガーハットは、ちゃんぽんの「リンガーハット」、とんかつの「浜勝」ともに既存店は増収だった。リンガーハットは国産野菜の取り組みが周知され堅調、浜勝はランチやサイドメニューの充実、デザートビュッフェの併設効果により好調に推移した。

居酒屋業態が低迷を脱しきれないなか、パブ業態のハブは好調。売上高・経常利益ともに過去最高を更新し、既存店売上高も0・8%増と6年連続で前年を上回った。会員数24万人を突破したメンバーズカードや盛況だったラグビーイベントが売上増につながった。メーカー協賛により食材原価を抑えたことで、利益も拡大した。

7月期、8月期の中間決算は、前期に新規上場を果たした居酒屋の鳥貴族が収益を大きく拡大、サイゼリアは国内既存店が好調なことに加え、海外売上比率が24%まで高まるなど収益を押し上げた。