幸楽苑HD、「いきなりステーキ」とFC契約 福島へ12月21日に1号店

がっちり握手を交わす一瀬社長(左)と新井田副社長(右)
〈ロードサイドで高収益モデル〉

ラーメン店「幸楽苑」をチェーン展開する幸楽苑ホールディングス(福島県郡山市)は8日、ペッパーフードサービス(東京都墨田区)が展開するステーキ専門店「いきなりステーキ」とフランチャイズ(FC)契約し、1号店「福島太平寺店」を既存店の業態転換で12月21日に福島市内に開店することを発表した。

幸楽苑HDは郊外のロードサイドを中心に国内で561店を展開する。グループ1000店構想を掲げるが、単一ブランド「幸楽苑」のみではドミナントエリアで自社競合が発生すると判断し、競合しない別のブランドが必要だった。一方、「いきなりステーキ」は都市部や大型ショッピングセンター(SC)など、集客力が高い立地を中心に国内で166店を展開する。今年5月に初のロードサイド店を群馬県に出店したが、都心店より高い売り上げと家賃の安さから、髙収益モデルを確立できると判断した。ロードサイドでの店舗拡大を目指しており、両社の思惑が一致した。

8日に都内で行われた合同記者会見で、ペッパーフードサービスの一瀬邦夫社長は、「SCに行けば何でも用を済ませられるようになり、ロードサイドの個店には陰りがある。しかし、人口が少なくても、交通量がどれだけあるのか、駐車場が何台あるのかで繁盛店は作れる。当社は都心で鍛えられてきた。家賃が300万円なんていう店もある。地方は50万円の家賃で大きな店舗が作れ、家賃比率1%という店舗もある。都心は平均15~20%。幸い(いきなりステーキは)名前が通るようになり、地方からはいつ来てくれるのかという声も頂いている。全国の老若男女の皆さんに、気軽においしいステーキを食べていただき、いきなりステーキを文化として定着させたい」と話した。

一方、幸楽苑HDにとっては、店舗数の拡大にはつながるが、扱うメニューがまったく異なるため、「食材の調達や物流などのシナジー効果はない」(新井田昇幸楽苑HD副社長)という。ただ、「いきなりステーキの群馬県のロードサイド店を数店舗見学したが、老若男女で繁盛しており、(幸楽苑と)客層も似ている。ラーメンだけでなく、ステーキも食べたいという地域の需要に応えられるようになる」と期待を寄せた。

FCの2号店以降の計画については、「まず1号店が成功してから」(新井田副社長)だという。新規出店、既存店からの業態転換の割合についても現時点では未定。ペッパーフード側にとって大型のFC契約になったが、エリアFCという考え方はなく、一瀬社長は、「幸楽苑さんが福島県以外にも出店したいと言ってくれればうれしい」と話した。

〈食品産業新聞2017年11月13日付より〉