ガストで宅配・テイクアウト限定「ローストチキン」大人気、宅配の売上成長率7%をけん引/すかいらーく

ガスト自家製の「ローストチキン」(イメージ)
すかいらーくが運営するファミリーレストラン「ガスト」の宅配・テイクアウト限定商品「ローストチキン」が人気を集めている。16年のクリスマスに期間限定発売し、好評を博したため今年から通年化したもので、家族や友人との会食やパーティー需要を掴み、販売個数は右肩上がりで拡大中だ。

高齢化や女性の社会進出に伴い宅配市場は年々拡大している。すかいらーくグループの宅配サービスも過去3年間で売上高平均成長率7%を実現しており、18年度はさらなる成長率が見込まれるという。

〈20年前から自前で宅配を実施〉
「ガスト」では、他社のファミリーレストランに先駆け、20年前から自前で宅配サービスを実施してきた。店舗で一番人気の「チーズINハンバーグ」を筆頭に、オムライス、うどんやラーメンといった店内と同様の商品と、500円台から1500円代まで揃う専用商品の弁当など、様々なメニューを注文できるのが特長で、売上高は堅調に推移している。

すかいらーくグループの宅配事業を担当するすかいらーくホールディングスRS企画チームリーダーの大竹実氏は、宅配サービスの売上高が拡大をする背景と同社の取り組みを次のように話す。

「社会的背景による中食市場の拡大で、当社の宅配サービスの売上高も年々拡大している。宅配ポータルサイトの『出前館』や配達サービスの『ウーバーイーツ』といった受注や配達代行を行う業者が拡大傾向にあることも当社の宅配サービスが堅調な要因だ。成長市場である宅配ビジネスをさらに進攻するため現在、専用商品の投入や新型決済サービスの導入など、売上増につながる様々な施策を実施している」。

〈2018年の「ローストチキン」販売は10万羽見込み〉
家庭では作れない付加価値商品の提供を目的に宅配・テイクアウト専用商品として開発したのが、「ローストチキン」(宅配・税抜1300円、テイクアウト・同980円)だ。セントラルキッチンで焼き上げる自家製で、1羽丸ごと使用した鶏肉は、ジューシーな食感が特長だ。当初クリスマス期間の限定販売だったが、好調に推移したため、18年4月から通年で販売している。1年目の販売数量は1万羽、2年目は4万羽、通年化した今年は10万羽を見込む。

「ガスト」は「ローストチキン」に加え、宅配・テイクアウトの柱として今年4月、生地にこだわった新しいピザも投入した。店内飲食でも提供する同商品は、セントラルキッチンのピザラインに約8億円を投資し、ピザ職人が手でこねる工程や、生地を伸ばす工程を機械で再現した自信作で、改良以来、販売数は店内飲食、宅配・テイクアウト共に伸びているという。地方の宅配ピザの拠点は、ニーズがあるのに非常に少ないため、宅配の機能を「ガスト」自身が持つことを念頭に置き、工場に投資したという。

〈すかいらーくグループ全体で18年度10%以上の成長見込み〉
「ガスト」を筆頭に、すかいらーくグループは「ジョナサン」「バーミヤン」など約1000店舗で宅配サービスを実施。15年度から17年度の売上高平均成長率は7%を実現しており、18年度は10%以上の売上成長を見込む。11月29日より5ブランド15店舗の宅配サービスにおいて、「楽天ペイ」「LINE Pay」活用のプリント型QRコードの読み取りによる決済サービスの導入を開始した。随時、使用できる店舗を拡大していき、利便性を高めることでさらなる売上拡大につなげていくという。

来年には軽減税率がスタートする予定だが、同社は宅配サービスを強化する一方、店内改装の実施や接客の質を向上させ、店内で飲食することに2%の価値を感じてもらえるサービスにも注力していく。店内飲食、宅配・テイクアウトの両者の需要を獲得し、消費増税後も選ばれる飲食店を目指す構えだ。