外食に広がる“ソロ活”業態、「ソロ焼肉」がトレンド化、「一人鍋」も続々

焼肉業界の潜在的ニーズを掘り起こした「焼肉らいく」(写真は「カルビ&ハラミセット」)
1人焼肉、1人鍋、外食業界で、いま大きな盛り上がりを見せているのは、1人で外食を楽しむ「ソロ活」業態だ。「本格的なステーキが手軽に食べられる」として1人客の需要を掴み急成長を遂げたペッパーフードサービスが運営する「いきなり!ステーキ」の成功以降、1人客の需要を掴む業態が増加している。

〈“ソロ活”ブームのけん引役として地位を獲得/「焼肉ライク」〉
東京・新橋に1号店オープン以降、1人焼肉が楽しめる新型ファストフードとして話題を席巻中の「焼肉ライク」。昨年8月の1号店オープン以降、新宿、渋谷に出店し、今年も都心を中心に続々店舗を拡大して意向だ。人気の理由は、「1人では色々な部位を楽しめない」「女性1人では店に入りにくい」といった声に応える、これまで複数人でしか楽しめなかった焼肉の常識を覆す新業態を開発できたこと。「ソロ焼肉」が、今年のヒット予測に入り込むなど、外食業界に広がる「ソロ活」ブームのけん引役として、確固たる地位を獲得している。

「焼肉ライク」を運営するダイニングイノベーションの西山知義会長は、「いきなりステーキ」や、“すし”を気軽な業態へと進化させた「回転寿司」の成功をヒントに同業態を開発したという。単身世帯の増加で個食化が進むなか、焼肉業界における新たな潜在的ニーズを掘り起こした。3月には、横浜・千葉・秋葉原に出店、インドネシア、台湾といった海外店舗も今春にはオープンする予定だ。昨年末には、ラーメン店「幸楽苑」との提携で郊外への出店も決定。今後5年以内に300店舗の展開を目標に据えており、地方でもニーズのある1人客需要を取り込む考えだ。

〈「しゃぶ葉」のノウハウを生かした「一人鍋しゃぶしゃぶすうぷ」〉
一方、2月15日、しゃぶしゃぶの新業態「一人鍋しゃぶしゃぶすうぷ」を静岡パルコにオープンしたのは、すかいらーくグループのニラックス。約200店舗を運営するしゃぶしゃぶ食べ放題「しゃぶ葉」の開発で培ったノウハウを生かし、1人客向け用のしゃぶしゃぶ業態を開発した。こだわったのは鍋スープで、店舗で薄く削った鰹節を使用する「極み黄金出汁」、静岡の老舗・小柳津製茶とコラボした「お茶屋さんの抹茶出汁」など8種類を用意。また「たれBAR」には、18種類のたれと塩を、野菜は四季折々の旬の野菜をたくさん揃えた。税抜価格は平日ランチセット1080円~、土日祝ランチ

「一人鍋しゃぶしゃぶすうぷ」静岡パルコ店では「お茶屋さんの抹茶出汁」など8種のスープを用意

「一人鍋しゃぶしゃぶすうぷ」静岡パルコ店では「お茶屋さんの抹茶出汁」など8種のスープを用意

〈都内では高級しゃぶしゃぶ専門店が「1人客でも気軽に入れる」店舗を開発〉
都内では、高級しゃぶしゃぶ専門店が、1人客でも気軽に入れる店舗を開発し新需要を創出する例が続く。前述のダイニングイノベーションが運営する一人一鍋「しゃぶしゃぶれたす」も女性客を中心に人気を集めている。複数で来店しても、自分のペースで思いっきり自由に、自分の好みで鍋を楽しめる1人鍋のスタイルが、女性客の需要を引き付けている理由で、ストレスフリーな「ソロ活」業態は、今後ますます増える様相だ。

「しゃぶしゃぶれたす」は“一人一鍋”をコンセプトに展開(写真は「熟成牛タンのコース」)

「しゃぶしゃぶれたす」は“一人一鍋”をコンセプトに展開(写真は「熟成牛タンのコース」)

〈食品産業新聞 2019年2月11日号〉