〈新型ファストフード“1人焼肉”で新市場創出〉
昨夏、東京・新橋に1号店オープン以降、1人焼肉が楽しめる新型ファストフードとして世間を席巻中の「焼肉ライク」。1号店の出店以降、新宿、渋谷などの都心を中心に店舗を拡大し、この3月には幸楽苑との提携で初のロードサイドへと出店した。

株式会社焼肉ライクの社長を務める有村壮央氏は、「1号店オープン当時に掲げた5年で国内300店舗が目下の最低目標。繁華街、ロードサイドと2つのロケーションでのフォーマットが固まってきたことで今秋以降出店を加速化させていく」と語る。いま最も勢いのある焼肉チェーンとして注目を集める、同業態の概要と今後の展望を聞いた。
焼肉ライク社長 有村壮央氏

焼肉ライク社長 有村壮央氏

〈焼肉ライク社長 有村壮央氏に聞く〉
――「焼肉ライク」とは。

 
1人1台の無煙ロースターを使って好きな部位を好きなだけ食べられる新感覚の“焼肉ファストフード店”として誕生したのが「焼肉ライク」だ。当社親会社ダイニングイノベーションの会長を務める西山(西山知義氏。焼肉チェーン『牛角』の創業者でもある)が、「1人でも色々な部位を注文できる」、「女性1人でもお店に入りやすい」、「提供3分以内だから時間に余裕がなくても行ける」といった焼肉の常識を覆す、まったく新しい焼肉の楽しみ方を提供する新業態を作ろうと開発を手掛けたもの。
 
西山は、寿司業態に客単価1100円程度の回転寿司があるように、焼肉業態にも同程度で提供できる低価格帯のチェーンの開発を以前から考えていた。「低単価で高回転の焼肉業態を開発できれば、高いコストパフォーマンスでお客様に満足いただける」との考えの下、「焼肉ライク」を開発した。
 
これまでに国内は新橋本店を皮切りに9店舗、海外は台北京站店、ジャカルタグランドインドネシア店の2店舗をオープンしている。運営はこの4月より、ダイニングイノベーションの事業会社として、子会社の株式会社焼肉ライクが行っている。

1人1台の無煙ロースターを設置

1人1台の無煙ロースターを設置

――メニューの概要と店舗の特長を。
 
当業態のコンセプトはテイスティ・クイック・バリューの3点。“テイスティ”(おいしさ)では、牛肉は主に提携の食肉加工場で手切りした米国産チルド肉を使用。また非加熱製法の生だれや産地にこだわった国産米など食材にこだわることでチェーンとはいえ、個店に負けないおいしさを実現している。“クイック”(早さ)ではメニューを絞り、オペレーションを簡素化することで3分以内の提供を実現。テイスティ・クイックに注力することで“バリュー”(価値)を感じて貰える業態を目指した。
 
セットメニュー(各ごはん、スープ、キムチ付き、価格は全て税抜き)は、「うす切りカルビセット」100g・530円から。メニュー構成は店舗によって一部異なるが、一番人気は「牛タン&匠カルビ&ハラミセット」(200g・1480円)。
 
オープン以降、新たに導入した取り組みとしては、タッチパネルとウォーターサーバーがある。この2点を導入したことで、人件費を削減でき、より1人で焼肉を食べやすい環境を整えた。
 
また、「焼肉屋のちょい足しカレー」(180円)など、新たなカスタムメニューを導入するなどニーズに合わせたメニューの充実も図った。客層は3割が女性。客単価は1300円程度。平均滞在時間は25分。売り上げは各店とも想定を上回って推移しており、新規客に加え、リピーターも多い。
 
――今年3月には初のロードサイド店が誕生した。
 
ダイニングイノベーションと幸楽苑ホールディングスが昨年12月にFC(フランチャイズ)提携を結び、今年3月、ラーメン「幸楽苑」からの業態転換で千葉県松戸市に郊外型店舗の1号店「焼肉ライク松戸南花島店」をオープンした。
 
ロードサイドへの出店を目指していた「焼肉ライク」と、不採算店舗を別業態に転換することで既存店売上高の回復へとつなげたい「幸楽苑」の立地特性が合致したことから、出店が決まったもの。業態転換により、近隣の幸楽苑の売り上げが25%伸長していると聞いている。
 
同店では、キッズメニューやフライドポテト、唐揚げといった都心型店舗には無いサイドメニューも充実させており、近々予定するメニュー改定ではさらにファミリーで楽しめるメニューを用意する予定だ。一人客もいるが、家族や友人同士など複数の来店が多く、オープンから4カ月を経て、いくつか課題も見えてきた。8月中旬にオープン予定の新たな提携店舗では、ファミリー層での来店を意識し、席幅を広くするなど、よりロードサイドに適した業態として運営していく予定だ。
 
――5年で300店舗を目標に掲げている。
 
「焼肉ライク」は、残り4年で300店舗体制を目標に新規出店を進めている。FC加盟については、既に50社以上の応募があり、ロードサイドの成功次第では、それ以上の展開も見込めるはずだ。今後の店舗展開としては、繁華街や駅近などまずは都市部を最優先に出店を進めていく意向だ。直営やFCとも課題は物件確保で、都市部の一等地はなかなか出店が難しい状況で、出店を検討するFC加盟希望者にはまずは物件の確保を呼び掛けている。9月以降は月5店舗の新規出店を予定しており、秋以降出店を加速化させていく。
 
〈食品産業新聞 2019年8月1日号〉