居酒屋大手のワタミは10月5日、既存の居酒屋業態120店舗を焼肉の新業態「焼肉の和民」に転換すると発表した。新型コロナウイルス感染症の拡大による売り上げの大幅な減少に加えて、居酒屋業態の需要は減少傾向にあった。一方、焼肉市場は今後も成長する可能性があり、今後の主幹事業を焼肉に位置付けて展開を進める。

ワタミの居酒屋業態は、「ミライザカ」は163店舗、「鳥メロ」は131店舗、「和民」と「坐・和民」は2021店舗をそれぞれ出店している。

業態転換は、「居酒屋 和民」「坐・和民」全店と、「ミライザカ」「鳥メロ」の一部店舗で実施する。今期中に60店舗を転換し、2021年度は60店舗で実施する。以降はフランチャイズにより5年で400店舗の出店を目指す。居酒屋の「和民」業態は、2021年3月末までにすべて切り替える。

客層は家族連れやビジネスパーソンなど幅広い世代を想定し、単価は3,000円前後を見込む。メニューは、焼肉の食べ放題に加えて各種サラダやラーメン、デザートなど充実させた。
「焼肉の和民」メニューイメージ

「焼肉の和民」メニューイメージ

10月5日に開かれた会見で、渡邉美樹会長は「さみしい思いであるが、変化こそが生き残る道ならば変化を受け入れなければ。『居酒屋 和民』業態で作りたかったものは、もう一つの家庭の食卓と、社員の幸福だ。両方ができるのが今回の大転換だと思っている」と語る。
 
ワタミによると、外食業態の中で、居酒屋業態の売り上げは大幅に落ち込み、今後回復したとしても、「以前の7割程度」(渡邉会長)を見込む。一方、焼肉業態は緊急事態宣言の発令された4~5月を除き、外食全体の売り上げを上回っている。「目的来店」動機の強い焼肉業態は外食業態の中心に今後なるとの考えから、業態転換に着手する。
 
すでに焼肉業態は、和牛の食べ放題を特徴にした「上村牧場」を展開している。この業態によって、カミチクグループやスターゼンとの関係が深くなるなど焼肉業態での仕入れルートを確保できたことも、今回の業態変更に踏み切った要因の一つ。オリジナルの和牛の開発も進め、リーズナブルな価格での提供を図る。牛は一頭買いで、焼肉店で使えなかった部位は居酒屋店などで活用する。
 
新業態「焼肉の和民」は、すでに居酒屋業態で多く店舗を出している駅前での出店を強める。「上村牧場」はロードサイドなどで展開を行う。
 
報道向けに公開された大鳥居駅前店(東京都大田区)では、特急レーンや自動検温器、タッチパネル、モバイルオーダーなどを採用した。実験的に配膳ロボも利用して接触機会を約80%削減した。生産性の向上も図っている。