「焼肉きんぐ」や「丸源ラーメン」などの外食チェーンをロードサイド中心に展開する物語コーポレーション。新型コロナウイルスの打撃は受けたものの、国内の既存店売上高はコロナ禍以前の水準まで回復してきている。一方、上海を中心に店舗展開する中国事業では9月の既存店売上高が約40%増と大きく伸長。中国事業好調の背景を、同社代表取締役専務執行役員 兼 物語(上海)企業管理有限公司董事長の岡田雅道氏に聞いた。
物語コーポレーション「焼肉王 丁香国際店」店舗外観

物語コーポレーション「焼肉王 丁香国際店」店舗外観

 
◆物語コーポレーション・岡田雅道氏
2001年 物語コーポレーション入社。2013年1月 執行役員。2016年7月 物語(上海)企業管理有限公司総経理。2018年8月 Storyteller株式会社代表取締役社長(現任)。2020年07月物語(上海)企業管理有限公司董事長(現任) 、代表取締役専務執行役員 グローバルマーケティング・営業統括 新業態開発担当に就任。

物語コーポレーション・岡田雅道氏

物語コーポレーション・岡田雅道氏

 
――新型コロナによる国内事業への影響はどうですか
 
4~5月下旬の緊急事態宣言が発令されていた際は、直営の全302店舗を休業し、4月の既存店売上高は72.1%減、5月は42.8%減まで落ち込んだ。しかし、6月には3.7%減まで回復し、7月は3.4%増とプラスに転じた。直近の9月は2.5%減だが、コロナ前の水準まで戻ってきている。
 
回復要因は、需要の落ち込みが激しい繁華街ではなく、高いニーズのある郊外のロードサイドに積極出店していたことが挙げられる。また、緊急事態宣言解除後に行きたい外食業態として、焼肉が最も支持されていたことも大きいと思う。また、当社はこれまで「おせっかい」をキーワードに、各ブランドで接客力を磨き上げ、ファミリー層を中心に支持を得ていることも客数や売上の回復につながったと考えている。
 
一方で、繁華街に出店している専門店業態は、リモートワークの普及によるビジネスマンの利用減やインバウンド消失の影響を受けて苦戦した。
 
――中国事業の現状はいかがですか
 
上海エリアを中心に、現地向けに開発した「北海道 蟹の岡田屋総本店」「薪火焼肉 源の屋総本店」「焼肉王」の3ブランドを展開している。
 
現在の売上は一言でいうと絶好調だ。日本よりは早くコロナが収束したものの、国外への移動はまだ難しい。その中で、中国の国内消費が活発となっており、9月の既存店売上高は前年比約40%増で推移し、国慶節の大型連休(10月1日~10月8日)では、前年比約200%となった。
 
――中国事業好調の背景は
 
コロナの拡大をきっかけに、カニバリゼーション(共食い)を起こしていた店舗を整理して利益率が向上したことも好調を支える要因となった。
 
また、衛生管理で支持されたことも要因のひとつだと考えている。中国チェーンストア経営協会(CCFA)で日本人唯一の会員として、店舗の衛生管理の取り組みを紹介し、多くの中国企業で取り入れられた。
 
海外進出というと、日本の既存ブランドをそのまま持っていく場合が多い。しかし、日本には日本にあった業態を開発するように、中国でも現地のマーケットにあった業態開発が必要だと考え、すべてのブランドを一から開発した。
 
〈中国事業が日本事業へのヒントに〉
――日本事業に活かされるところは

 
中国はコロナの感染拡大が早かったことと、先進技術の導入が進んでいることから、今後日本で展開するうえで一つのヒントになると思っている。
 
例えば、店舗で自分のスマートフォンからメニューを注文するモバイルオーダーも、日本ではまだそこまで多くないが、中国では当たり前になっている。中国のブランドでモバイルオーダーに切り替える際、紙のメニューを求めたり、スマートフォンでの注文に抵抗を感じたりする人がいるのではと思ったが、いざ切り替えてみるととてもスムーズだった。お年寄りも難なく自分のスマートフォンで注文していた。
 
――中国での今後の展開は 
 
出店に関しては、新業態「焼肉王」を中心に物件を吟味しつつ慎重に進める。また、国内でもそうだが常に新たな業態開発を進めている。商品やサービスの向上にも引き続き取り組み、地域一番店を目指す。