食品事業者のHACCP義務化で衛生管理の負担増、USENが手軽なチェックアプリ「お店のHACCP」飲食店に提供へ

USEN「お店のHACCP」(使用イメージ)
2021年6月1日から、食品を取り扱う事業者すべてを対象にHACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の実施が義務化される。企業の規模を問わず実施されるため、すべての飲食店で負担が増えそうだ。そこでUSENは、従業員50人未満の店舗で衛生管理を簡単に行えるアプリ「お店のHACCP」を開発した。紙で長い時間をかけて行っていた作業を、スマートフォンなどから簡単に行える。

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HACCPは、食品を製造する際に安全を確保するための衛生管理の手法のこと。食中毒を予防することが基本原則となっている。6月からはすべての飲食店でチェックが義務付けられる。記録した紙などは保存する必要があるという。

最近は、新型コロナウイルスの感染拡大で、テークアウトやデリバリーに取り組む飲食店が増えており、食中毒防止への取り組みは重要な課題となっている。コロナ対策としても、衛生管理の必要性はより高まっているようだ。ただ、店舗ごとに必要なチェック項目が異なるため、自分たちで調べてHACCPに取り組まなくてはならない。

USENのアプリ「お店のHACCP」では、紙で長い時間をかけて行っていた作業を、スマートフォンなどから簡単に行える。現在は、USEN少額短期保険で提供している保険の加入者を対象に無料で行っている。将来的には、有料サービスとして保険に加入していない事業者へのサービス提供も検討している。

USENインシュアランス事業推進部長とUSEN少額短期保険の取締役を兼任している富田晃氏は、「約1,600店舗にヒアリングしたところ、2021年4月時点で取り組んでいる事業者はわずか15%」と話す。HACCPにどう取り組めば良いか分からないと悩む飲食事業者だけでなく、HACCPを知らない事業者もいたようだ。今回のアプリ提供は、こうした飲食事業者の負担軽減につなげるべく開発した。

アプリの操作は非常に簡単だ。提供する料理のカテゴリや店内設備をクリックで選択すると、その店舗に合ったチェックシートが1分もかからずに自動で生成される。カスタマイズも可能で、独自のチェック内容も追加できる。チェックもスマホに表示される質問にクリックするだけで行える。必要ならば写真も保存できる。慣れた人ならばわずか数秒で作業を終えられるという。

USEN「お店のHACCP」(サービスイメージ)

USEN「お店のHACCP」(サービスイメージ)

 
データはクラウド上に一括で保存できるため、保健所から提示を求められた際にも簡単に探せる。データは8年間保存される。また、スタッフの体調管理を記録する機能もついている。
 
このアプリ1つで、HACCPに沿った衛生管理計画の策定や、日々のチェック実施、記録の管理・保存など、小規模事業者に義務づけられるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理をすべて行える。

USEN「お店のHACCP」(画面イメージ)

USEN「お店のHACCP」(画面イメージ)

 
チェックシートは厚生労働省が内容を確認した「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」(日本食品衛生協会)に準拠した内容となっている。これから取り組む店舗だけでなく、すでに紙で記録管理を行っている飲食店でも、負担軽減につなげられるという。
 
今回のアプリで「食中毒を起こさないような管理を手軽にできるようにしただけでなく、食中毒が万一にも起きてしまった場合でも保険で手助けできる仕組みづくりができた」(富田取締役)と自信を見せる。
 
現在は、USEN少額短期保険で提供している保険の加入者を対象に無料で行っている。将来的には、有料サービスとして保険に加入していない事業者へのサービス提供も検討している。
 
また、USENは「店舗のDX(デジタルトランスフォーメーション)化」を進めている。タブレットを使ったレジシステムやキャッシュレスの提案なども行っており、富田取締役は「(今回のアプリで)こういう手間のかかるところをデジタル化することで、効率化できることも知ってもらえたら」と話した。
 
◆USEN「お店のHACCP」特設サイト