くら寿司「AI桜鯛」発売、“スマート養殖”で海にも生産者にもやさしい真鯛/大とろと愛媛県フェア

「愛媛県産 AI桜鯛」/くら寿司「大とろと愛媛県フェア」
回転寿司チェーン「くら寿司」は3月11日、AIやIoTを活用した“スマート養殖”で育った真鯛「愛媛県産 AI桜鯛」(1貫税込110円)を発売する。

同日から開催する「大とろと愛媛県フェア」商品として、3月15日までの期間限定で販売するもの。一部店舗では価格が異なる。

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「愛媛県産 AI桜鯛」は、くら寿司の子会社「KURAおさかなファーム」が2021年春から愛媛・宇和島で開始した、委託養殖の実証実験で生育した真鯛。この委託養殖では、AIを活用した“スマート給餌機”と稚魚、エサを生産者に提供している。スマート給餌機を使うことで、エサやりの負担軽減やエサの使用量削減、生育期間の短縮が期待できる取り組みだ。

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愛媛県宇和島市のくら寿司委託生産者に実験導入された「UMITRON CELL」

愛媛県宇和島市のくら寿司委託生産者に実験導入された「UMITRON CELL」

くら寿司は今回の実証実験を受け、養殖業者3社と契約を締結。6月頃から、スマート給餌機を使った真鯛の委託養殖事業を本格始動するという。
 
スマート給餌機「UMITRON CELL(ウミトロン セル)」は、水産養殖事業者向けに、データプラットフォームサービスを提供するウミトロンが開発。1日に何度も船で沖へ出て給餌することなく、スマートフォンのアプリで、遠隔からエサのタイミングや量を設定できるというもの。最大3日分のエサが貯蓄できるという。

スマート給餌機「UMITRON CELL」アプリの使用イメージ

スマート給餌機「UMITRON CELL」アプリの使用イメージ

これまでもタイマー制の自動給餌機はあったが、「ウミトロン セル」では、AIが魚の食いつきを判定して量やスピードを調整する。必要な分を的確なタイミングで投入するため、成育スピードの向上やエサ代削減につながるほか、エサが海へ流出してしまうのを防ぐ。今回のくら寿司の委託養殖では、エサの使用量が1~2割減ったという。また、ウミトロンが2020年に行った養殖マダイの生育試験では、従来の給餌と比べて育成期間を4ヶ月以上短縮している。
 
なお、くら寿司の「大とろと愛媛県フェア」では、「AI桜鯛」のほかにも、エサに愛媛県産の柑橘オイルを混ぜて育てたフルーティーフィッシュ「愛媛県産 みかん真はた」や、愛媛県で養殖されたクエとタマカイのハイブリッド魚「愛媛県産 くえクイーン」など最新の養殖技術で育った魚のほか、「愛媛県産 せとか」などを含む15種類以上の愛媛県ならではのメニューを展開する。

くら寿司「大とろと愛媛県フェア」メニューの一部

くら寿司「大とろと愛媛県フェア」メニューの一部

3月4日にくら寿司と愛媛県が共同で行った記者発表会で、中村時広愛媛県知事は、「魚は、養殖・天然どちらも素晴らしい食材。例えば肉の世界では、畜産農家が大切に育てた質の高い肉が市場で評価されています。魚も同様で、昨今の技術革新で本当に素晴らしい味と品質を持った魚が投入されているので、この機会にぜひ知っていただきたい」と話した。

中村時広 愛媛県知事

中村時広 愛媛県知事