日本ハム冷凍食品、今春新商品が好調で上期は増収 高付加価値ハンバーグ「焼の匠」は根気よく育成

日本ハム冷凍食品の上期の売上高は前年比7%増と堅調に推移した。一方、利益面では前年度に過去最高益を記録していたが、今期は商品育成のために販促費が増加したほか、コストアップもあり減益となる見通しだ。13日、東京・大崎の本社で鶴田道太社長ら幹部が専門紙に向け記者会見し、17年の事業概況等について説明した。

鶴田社長によれば、上期は今春に発売したお弁当品の「若鶏からあげ チキチキボーン味」やカップ入り「エビチリ」、ささみシリーズの「ささみ梅しそカツ」といった商品群が好調で、全体として堅調に推移した。一方、今春新たに投入した、焼きにこだわった高付加価値ハンバーグ「焼の匠」シリーズは、味への評価が高く配荷も順調だった一方、店頭の認知がなかなか進まず想定を下回った。ただ、試食販売、販促強化等で足元では上向いているという。鶴田社長は「ニッポンハムグループの畜肉加工技術を活かし、ハンバーグは根気よく末永く育成したい」など意気込みを述べた。

上期におけるカテゴリー別の売上増減率は、弁当品が前述の「若鶏からあげチキチキボーン味」の好調もあり18%増、中華は主力の「中華の鉄人 陳建一 四川焼売」など引き続き好調で11%増、惣菜類も13%増とNBトータルでは2ケタ増となったが、PB等は9%減と苦戦気味だった。

上期の同社売れ筋商品上位は①中華の鉄人陳建一 四川焼売②若鶏からあげチキチキボーン味③黒豚やわらかひとくちかつ④若鶏ももからあげ(280g)⑤たれづけ竜田揚げ――の順で、今春の新商品である「若鶏からあげチキチキボーン味」がさっそく2位に入るヒットとなった。

一方、足元の業績を見ると、「今秋の新商品で当社が強みを持つお弁当品の品数を抑え、おかずに力を入れたことも影響し、10月は久しぶりの単月マイナス(売上金額)」(鶴田社長)となったものの、11月は10%増と持ち直しているという。同社幹部によれば、10月は前年にプロ野球(NPB)北海道日本ハムファイターズが優勝し、記念セールなどがあったことも影響しているようだ。

営業体制では、今春、高崎に北関東営業課、岡山に中四国営業課と拠点を開設。営業マンの数も約3割増に増やした鶴田社長は「新入社員も含んでおり、上期に経験を積み、下期以降は各営業マンが担当得意先を持ちフル回転に入っている。当社は問屋様を通じた営業体制で、私自身も問屋様の各地区支社・支店等を回り、コミュニケーションを図るとともに、良好な関係構築に務めた。また、最前線の小売店にも通い、アピールすることができた」「拠点を拡充した北関東、中四国や昨年度拡充した東北は進捗率がよい。お客様との距離が短いことはきめ細かな対応につながり、着実に成果が上がっている」など述べた。一方、課題としては、鶴田社長が20年度売上高300億円という大きな目標を掲げる中で「現時点では明らかに遅れている。商品面では、まだ手を付けていないカテゴリーがある。来春にもトライしたい。営業面では、増員してもすぐに戦力とはいえず、育てながら増員していきたい。年15%ほどの売上成長は欲しい」など述べた。

〈アレルゲン対応商品の生産体制確立、来春以降本格展開へ〉

アレルゲン対応商品は、今春から一部展開していた。生産キャパの問題もあり、限定的な案内で進めてきたが、下期からラインを増強し、生産体制が整ってきた。鶴田社長は「量を求める商品ではないが、問い合わせが多く、非常に強いニーズを感じる。また、お客様の声などからグルテンフリーも今後は大いにありうる分野で検討したい」とし、来春は商品を増強するとともに、SMやドラッグストアチャネル向けにカタログ掲載商品として展開する方針だという。

〈冷食日報2017年12月21日付より〉