〈2018年頭所感〉日本冷凍食品協会会長・伊藤滋氏 冷食業界の地位向上に全力を傾注

日本冷凍食品協会会長・伊藤滋氏
〈2020年東京五輪に向け新事業〉

冷凍食品を取り巻く状況をみますと、穀物等の国際価格は落ち着いた動きとなっていますが、国内産原料の価格は総じて上昇しています。米が平年作にも拘らず上昇しているほか、不漁の水産物や牛肉も高値が続いています。また、物流についても大幅な料金改定が進められているほか、賃金の上昇が続き、工場などでは人手不足が深刻化しており、コスト上昇圧力が高まっています。

冷凍食品の需要については、内食志向の強まり、各社の積極的な新製品開発、テレビを活用したPRなどにより、平成28年は増加に転じ29年も増加が続いたものとみられます。

当協会では、冷凍食品の優れた特性を広く知っていただくため、「ココロにおいしい、冷凍食品」のスローガンに加え、「しあわせ広がる、冷凍食品」をサブとして、PRイベント、新聞・雑誌・ラジオ、Web、講習会など幅広く広報事業を展開してきましたが、本年も各種媒体の適性に応じた効率的な活用とその複合的な展開により効果を高めていきます。さらに、学校給食、介護・医療施設などの業務用分野での啓発活動を強化します。

加えて、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、冷凍食品の素晴らしさを広く伝える機会と位置付け、新たな事業を検討していきます。

冷凍食品認定制度については、冷凍食品工場の品質管理レベルのさらなる向上、国際的な認証制度への対応などの観点から、29年4月に認定基準を改定・施行しましたが、会員各位のご協力により同制度は円滑に運用されており、会員の皆様に感謝申し上げます。

また、品質管理担当者の資質向上のため各種講習会を実施していますが、今年は、制度化が予定されるHACCPに関する講習会の充実を図ります。その他、工場でフロン類から自然冷媒への転換を促進するなど環境対策も充実させます。

制度的問題として、加工食品の新たな原料原産地表示制度、HACCPによる衛生管理の制度化、食品用器具・容器包装の規制の見直しなどが決定されており、当協会としては、これらの課題について会員に対して必要な情報提供を行うとともに、実態に見合った運用がなされるよう対応していきます。

このほかにも様々な課題がありますが、当協会として前向きに対応することで、将来に向けて活力ある冷凍食品産業が実現し、業界全体の地位向上に結び付くよう全力を傾注する所存です。会員の皆様におかれてもご協力をお願いします。

〈冷食日報 2018年1月9日付より〉