ヤマザキグループの吉田住吉工場が竣工 3工場を集約、原料一次加工から手掛け「垂直統合型」商品作り強化

ヤマザキグループ 吉田住吉工場
ヤマザキ(静岡県吉田町)は、ヤマザキグループ総合研究所敷地内に建設していた吉田住吉工場を8月24日に竣工し、同日、関係者や報道向けに内覧会を開催した。

原料野菜の下処理をする「原菜加工センター」および、「チルド包装惣菜(袋物惣菜)製造工場」、グループ会社であるユニフーズ社の「グラタン製造工場」を1カ所にまとめることで、合理化・生産性の向上を図り、9月中旬より順次稼働する。

同工場の特長は、原料となる野菜、牛乳、チーズなどを、原菜、生乳、ナチュラルチーズ原木など素材で受け入れ一次処理から取組み、合理化された生産ラインや機械化により生産能力を向上させている点。同社グループでは原料となる野菜の品種改良や、農業生産法人による農業生産、工場から出る野菜残さを堆肥にして畑で使う循環型工場の取組みも行っており、畑から工場、食卓までをつなぐ「垂直統合型」商品作りという理念をさらに強化する形となる。

新工場のうち、原菜加工センターではかぼちゃ、たまねぎ、にんじんなどを中心に原菜の下処理を実施。10トン/日でスタートし、近い内に20トン/日の処理能力を目指す。従来は各工場に分散していた原菜下処理を集約することで作業の効率化を図れるほか、原菜の冷蔵倉庫としての機能も持ち、倉庫から即・下処理し製造ラインに渡せることから、品質向上・品質管理の面でもメリットを発揮する。チルド包装惣菜製造工場では16アイテムで16万食/日を製造。従来の川尻工場では、5アイテムで6万食/日だったため、他の工場からの移管も含めて、拡大移転する。

チルド包装惣菜の“きも”でもある低温殺菌は、専用の殺菌室で実施。工場内の衛生管理を徹底するとともに、商品ごとの特性に合わせた温度管理で低温殺菌することで、作りたての野菜本来の食感・風味を保ちつつ安全性や日持ちを両立する。

また、グラタン製造工場は大手CVS向けチルドグラタンを製造するユニフーズ社の工場として稼働。現在のユニフーズ工場の製造能力が3アイテムで4~5万食/日であるところ、新工場では3アイテムからスタートするが順次アイテム拡大を検討し、8万食/日の製造を目指す。

同工場には10トン×3本の生乳タンクを備え、北海道、静岡県内の契約酪農家から直接生乳を仕入れ、自社で受け入れ検査からはじめ、徹底的な衛生管理体制で美味しいグラタンづくりに活かすとともに、品質とコストの安定化を図る。

また、本格的グラタンづくりのため使用するチーズはナチュラルチーズを原木のまま仕入れ、工場内で毎日シュレッド、ブレンド。肉もワンフローズンの肉を工場で解凍、カットから一連の流れで調理し、鮮度と美味しさを保てるという。

ほか、同じ敷地内に従来から堆肥工場を備え、野菜残さを堆肥にして畑で使う、循環型工場の取組みも行っている。堆肥工場では、毎日工場で出る野菜残さ約10~12トンを処理し、独自に研究開発している発酵促進資材を用いて2~3カ月かけて堆肥を製造する。それを自社農業法人や契約農家で使用し、野菜残さを余すこと無く使用している。

〈冷凍NB投入計画「チルドに加え、冷凍をもう1つの柱に」=山崎社長〉
山崎朝彦社長は記者団の問いに答え、「新工場の稼働により、生産能力が向上することでさまざまな挑戦ができ、品目も拡げられる。大手CVS向けグラタンではもっとリピート率の高い力のある商品を開発したい」とした。

また、今後の冷凍食品(フローズンチルド含む)への展開を明言。「チルドに加え、冷凍をこれからの事業のもう1つの柱に育てたい」とした。新工場稼働で空く川尻工場をリニューアルし、NBで新たに展開する予定の冷凍・フロチルのグラタン工場として活用。グラタン以外でも冷凍食品の投入を計画し、当面は冷凍設備を持つ吉田大幡工場で徐々に立ち上げつつ展開を模索するという。

〈冷食日報 2018年8月30日付より〉