シルバーライフ 高齢者配食FC・施設・冷凍弁当いずれも大幅伸長、第2工場製造棟と倉庫を同時建設へ

シルバーライフ・清水貴久社長
高齢者向け食材の製造販売を手掛けるシルバーライフ(群馬、清水貴久社長)の2018年7月期決算は、売上高が65億4,700万円で前期比24.8%増と伸長した。主力の高齢者向け配食サービスのFC加盟店向け販売が加盟店舗数の増加によって堅調に推移したことに加え、高齢者施設向けの食材販売事業の新規契約の増加、冷凍弁当のOEMの新規受託と3事業とも増収に寄与した。今期も大幅な増収・増益を見込む。一方で運賃や倉庫内作業コスト抑制のため、新工場の倉庫部分を当初計画から前倒しして同時に建設することを決めた。

営業利益は5億9,900万円で26.0%増、経常利益は6億7,700万円で25.6%増。配送運賃の値上げや倉庫内作業の業務委託費の増加がマイナス要因となったが、売上高同様に2割以上伸長した。一方で当期純利益は4億3,100万円で14.2%増となった。上場したことによって留保金課税(当期4,800万円)や事業税(1,700万円)の負担が増えたためだ。清水社長は「留保金課税は将来的に解消していきたい」と述べた。

販売区分別の業績について、FC加盟店向けは47億7,800万円で17.4%増となった。店舗数は626店で前年度比63店増。「まごころ弁当」「配食のふれ愛」の2ブランドを展開しており、それぞれ14店舗、49店舗増加している。在宅高齢者が増加する中、上場による知名度向上がFC店増加につながった。

高齢者施設向け食材販売サービスは「まごころ食材サービス」として展開する。当期売上高は10億9,900万円と前期比48.9%増と伸長した。契約施設数は4,406件で前年度比1,301件の大幅増となった。介護報酬削減も背景に、人手不足によって施設内調理から外部委託に切り替える事業者が増えているためだ。OEM冷凍弁当の売上高は6億6,800万円で53.3%増。昨年10月に赤岩物流センターが稼動したことで、1日の配送先を従前の6倍に当たる3,000件まで対応できる体制となった。そのため今年4月から、ヨシケイからOEM受託し売上げを伸ばした。今期も新規が2~3件決まっているという。

今期は売上高77億1,600万円で前期比17.9%増、売上総利益20億3,500万円で15.8%増、営業利益6億8,700万円で14.7%増、経常利益7億3,900万円で9.1%増、当期純利益4億6,300万円で7.4%増――を見込む。売上高の予算を販売区分別に見ると、FC加盟店向けは55億1,100万円、15.3%増を見込む。今期末で50~60店増の680店舗を想定。後期高齢者人口の増加を背景に、出店意欲は引き続き高いと見込む。

高齢者施設向けは14億1,900万円で29.2%増。新規開拓によって毎月の契約数が増加する傾向が続くと見込む。OEMは7億8,200万円で17.0%増。前期受託先の通期寄与を折り込んだ。このほか新規契約については金額が不確定のため予算には折り込んでいない。売上総利益は売上増に伴って増加するものの、食材の高騰や、2020年に稼働予定の第2工場のために人員強化を図ることから、利益率は落ちる見込みだ。販管費も運賃や倉庫内作業の業務委託費の増加を見込み、利益は控え目に見積もった。

〈第1工場は冷凍に特化、外販も着手〉
設備投資は第2工場製造棟を先行し、第2期工事で冷凍・冷蔵倉庫を、第3期工事で2階倉庫を数年かけて建設する当初計画を改め、1期工事で完成させる。投資金額は当初製造棟だけで14億円だったが、25~28億円になる見込みだ。

新工場と倉庫を同時に完成させることで、運賃削減と庫内作業効率の向上を図る狙いだ。第2工場の製品は真空調理法によって、賞味期限は冷蔵で従来の2倍の2週間となる。これまでは賞味期限1週間の製品の週3回配送だったが、賞味期限が2週間となることで週2回配送に頻度を減らす考えだ。

第2工場の竣工に伴い、第1工場(関東工場)は冷凍品に特化させる計画だ。高齢者施設向けに冷凍パック惣菜の販売事業を始める。販売数量の増加によって、今期中に関東工場は製造限界に達する見込み。第2工場の建設は喫緊の課題だ。それまでは外部委託生産を増加させて対処する。

〈冷食日報 2018年9月20日付より〉