シンプロット(米国アイダホ州ボイジー市)は世界で初めて冷凍フライドポテトの製品化に成功したメーカーとされる。3大ポテトメーカーの一角だ。食品製造販売のほかに肥料や品種研究などアグリビジネスも手掛けるが、いずれもポテトが中核にある。同族会社として米国に生産拠点が集中するのも特徴だ。他社が近年注力している欧州には生産拠点を持たず、日本法人でも北米産に集中した販売で強みを発揮してきた。欧州の干ばつが懸念される今年、日本市場の需給も変動する可能性がある。

同社の売上高構成比はフライドポテトが90%を占める。残りの10%が冷凍アボカド。スイートコーン・グリーンピース・ミックスベジタブルの取り扱いも2年前に開始した。日本の冷凍ポテト輸入総量は37万t強(17年)、そのうちシンプロット製品は10万tを占める。ラムウェストン、マッケイン・フーズとの3社でシェアを分け合うが、シンプロットは北米産だけを扱う点が他社と異なる。14年の米国西海岸港湾労使問題の時は北米産ポテトの輸入量が大幅に減少し、競合他社は欧州産の輸入を増加させた。一方で同社は当時、北米産のシェアを高めた。

「競合他社に比べてまだ所帯は小さいが、日本事務所の人員は(社長就任後)4年間で倍増させた」(小川雅英社長)。

現在14人態勢となり、その半数が営業担当。数年前に大手FFの業績不振により取扱量は7万tまで落ち込んだが、営業強化によって現在はそれ以前よりも約1万t取扱量を伸ばしている。スーパーなどリテールに向けて卸売企業との関係強化を進めてきた。

「日本人にとっての米のようなもの」というように、ポテト製品として原料の品種・品位や製品仕様によって多様なブランドをそろえる。ユーザーに適した製品を探して提案するのが同社の大きな役割だ。

近年のヒット商品はスプリング状にカットした「サイドワインダー」という商品。販売先を絞り込んだ取り組みが奏功して販売を伸ばしている。

開発に関しては今後、レンジ調理品や宅配業向けに特化した経時耐性のある商品に焦点を当てる。「現在市場に出回っている商品は“イモ感”に物足りなさがある。そこを克服して品位の高いものが開発できれば、ポテトにもまだ新しい市場開拓の余地がある」と意気込む。

「オリンピックまでは売上げは伸びていくだろう。その後に生き残りをかけた勝負となる。それまでにいかに多くの種をまくことができるか。この2年の種蒔が大事だ」として、伸び悩んでいるアボカド、着手したばかりの凍菜を含め、業容拡大に向けた取り組みを進める構えだ。

シンプロットはアジア・オセアニア地域では、中国とオーストラリアに工場をもつ。例えばオーストラリアではスイートコーンを栽培し缶詰も製造する。少しずつ日本での取り扱いも始めており「今後、売り方に知恵を絞っていきたい」と話す。

同社によれば今年の北米ポテトの収量は2,198万tで前年比2.2%減(約50万t減)となる。熱波はあったが、北米は灌漑農業のため品質は平年並みを保ちそうだという。一方で北米乾燥ポテトの需要が10%近く伸び(21.8万t増)、フライドポテト用も3.2%増(27.4万t増)。合計48万t需要増となり、需供はひっ迫する見通しだ。

欧州は今年、干ばつ被害が大きいと言われる。数量もさることながら品質の悪化による、業界全体への影響も懸念されているところだ。10月には18年度産品の契約の方向性が決まり、新物の流通は年明け2月頃に本格化する。

〈冷食日報 2018年10月22日付より〉