飲食店を取り巻く環境や社会問題などについて、料理人らが講演などを行う「CLUB RED presents Professional Workshop Vol.3~夢の講師陣に学ぶ次世代料理塾~」(主催:RED U-35実行委員会、共催:ぐるなび)が都内で開かれた。今回のテーマは「次世代が“食とサステナブル”を考える」。その中で、「食材のサステナビリティ」について、イオンのグループ商品戦略部の山本泰幸マネージャーらが、消費者へ安全・安心な食材を届けるための取り組みや、海外の現状などを紹介した。

サステナビリティは、環境・社会・経済の3つの観点からこの世の中を持続可能にしていくという考え方のこと。企業活動でも徐々に取り入れられつつある。イオンは2011年にサステナビリティの基本方針を、日本企業としてはいち早く策定している。2020年を目標に、裏付けのある持続可能な原材料にシフトすることを目標に取り組んでいる。

講演では水産品の取り組みで、asc認証とMSC認証を取得した魚類を使用していることを紹介した。MSC認証は天然魚に用いられるもので、漁獲量を守り海への影響を抑えた水産物に与えられる。asc認証は、養殖魚で自然資源の持続可能な利用を補いつつ、養殖そのものが及ぼす環境への負荷を軽減しているなど、責任ある養殖によって生産された水産資源に与えられる。認証を取得した商品が、2018年6月20日時点だと世界では約3万品目ある。イオンはエビフライで、元々はタイ産のエビを使用していたが、子供の不法就労などの問題があったため変更。今は認証が取得できているベトナム産のエビを使用している。こうした認証は、世界的にも広がりつつあるという。サステナブルシーフードの調達サポートなどを行うシーフードレガシー社で、企画営業部長を務める松井大輔氏によると「MSC認証は世界で10%の水産物で取得しており、白身魚は半数にも上る」という。

ヨーロッパなどでも取り組みが進みつつあり、企業の評価として用いられている。極端なケースとして、アメリカでは強制労働があった国で獲られたエビを使っていたとして、消費者が企業を訴えたこともあるという。

ただ、日本ではこうした取り組みはあまり進んでおらず、認証数も約560品目に留まる。松井氏によると「大企業経営ではなく、日本の漁師は家族経営が多いため、コストなどの難しさがあるのでは」と話す。イオンの山本氏も「(認証を)13年前に導入したが、そこから他の日本企業では広がりが少なく感じる。基準が受け入れにくいのでは」と分析する。また、日本の消費者もこうした取り組みへの認知が進んでいないことも要因として挙がった。山本氏は「詳しいデータを取ったわけではないが、認証を見て購入しようと思う人は日本では少ないのでは」と話す。

表参道(東京都港区)のフランス料理店レフェルヴェソンスでシェフを務める生江史伸氏は、料理人の立場から進まない理由を「スペックの一つに留まっているのでは」と分析する。野菜では、日本でもオーガニックやサステナブルが普及しつつあるが「それを看板にしているお店の味が良くないことが多い。こうしたものは我慢するという感覚が広がっていると思う」と述べる。こうした取り組みをより広げるために、生江氏は「消費者にとって、美味しいと思ってもらうことが大切」と力を込める。山本氏も「消費者のマインドを急速に変えることは難しく、認証を見て購入しようと思う人は少ないのでは」と話す。しかし「やっていくことが大手小売業としての使命だ」と力を込める。

また、2020年開催予定の東京オリンピックを契機に、普及が進むことを期待する声もある。松井氏はイギリスで2012年に開かれたロンドンオリンピックを引き合いにだし、イギリスでもそこで取り組みが進んだことを紹介「世界中から日本の食にも目を向けられる。取り組むべき機会なのでは」と語った。

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〈冷食日報 2018年10月23日付より〉