肉だんごへのこだわり随所に 自動化の取り組みも ケイエス冷凍食品・泉佐野工場

揚げ色や形を検品。不良率は1%程度。「業務改革推進課」で不良率低減に取り組む
ケイエス冷凍食品は本紙など10社が加盟する冷凍食品記者クラブに、同社の主力商品群である肉だんごを製造する、泉佐野工場(大阪府泉佐野市)の製造ラインを公開した。1系列~5系列まで5ラインすべて肉だんご類(一部、すり身製品)を製造している、肉だんご専用工場。1粒8g~33gの幅広い規格に対応する。

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工場における製品のトレーサビリティの起点となる、原材料の受け入れ時点では、品温や外装の異常、賞味期限などを検品して、工場1階の冷凍・冷蔵・常温の各倉庫に一時保管する。畜肉類のおよそ9割が鶏肉で、ほぼすべて国産だ。原料肉はX線で残骨などを検査したうえで使用。解凍機を使用して-6℃に解凍、一部は冷蔵解凍して解凍機の処理能力を補う。鶏肉は自社でミンチ加工している。

肉(魚肉)のすり身ブロックを砕くサイレントカッターは3台保有し、常時2台を4階の「生地仕込み室」で使用。混合器で肉とタマネギ、調味料などを混ぜ合わせた生地はそれぞれ配管を通じて成型機へ送る。

成型は下向きに搾り出した生地を切り落とす仕組み。コンベアに落ちたときにはいびつな形だが、フライヤーに投入されると丸いボール状に仕上がる。生地の粘度などにノウハウがあるという。今秋の新商品「しそ入り国産鶏 鶏つくね串」のボール状ではない形も、搾り出しとフライの工程だけで作っている。

フライ時間は2~4分で製品によって変えている。家庭用・業務用小袋製品はフライ加熱のみ、そのほか粒が大きい製品はスチームで加熱、鶏つくねなどは蒸し焼きの工程を踏む。特に家庭用「鶏つくね串(照焼)」のラインである4系列には従来の蒸し焼き後に、遠赤外線焼き機を設置して上下から火を入れ、表面をこんがりと焼き上げている。

“2度焼き”を導入した「国産鶏 鶏つくね串(照焼)」製造ライン

“2度焼き”を導入した「国産鶏 鶏つくね串(照焼)」製造ライン

その4系列と3系列はつくね串ラインとなっている。両者に組み込まれている連続式串刺しラインは撮影禁止、同工場の大きな特徴となっている。初号機を導入してから20年ほどたち、この間徐々に能力を高めてきた。現在の機械を導入したのは3系列が15年8月、4系列が16年11月だ。串刺しされた製品はロボットがトレー詰めする。なお同社は協力工場で畜肉フライの串物を製造しているが、その工場にもケイエス独自の串刺し機を持ち込んでいる。
 
5系列は現在、需要が高まっている業務用タレ無し製品を主に製造している。このラインだけトンネルフリーザーを設置され、加熱した製品の一次冷却を行い、計量、縦ピロー包装、真空包装してスパイラルフリーザーへ送る。
 
タレの調合にもこだわる。仕込み室には1.2~1.5tの釜を4基設置、各ラインに自動的に供給する仕組みとなっている。グループ会社で調味料メーカーの富士食品工業とも連携して独自の味わいを作りだしているが、タレ落ちしにくい食べやすさも同社製品の特長だ。スパイラルフリーザーで製品は4階から3階に送り込まれる。3、4系列の串ラインは3階クリーンルームで包装した後、各ラインで段ボール箱詰めを行う。自動化を進めている工程だ。
 
パラレルロボットを2台導入するなど3ラインに自動ケーサーを設置。合計18人の配置を削減した。残りの2ラインも自動化を進める方針だ。パレタイザーは3台設置。1・2系列と3・4系列は共用、5系列は独立となっている。

5系列のパラレルロボット

5系列のパラレルロボット

なおフロン規制対応には代替フロン(R404)への転換を徐々に進めている。再来年の正月に全ライン完了する見込みだ。
 
〈冷食日報 2018年11月1日付より〉