味の素冷凍食品の吉峯英虎社長は12月4日、同本社で専門紙に向けて記者会見を開いた。そのなかで来期も今秋に引き続き、餃子と米飯、から揚げの主力商品にマーケティング資源を傾注する方針を明らかにした。一方で家庭用の新領域の創出の必要性も強調し、おつまみ商品では「来春には新しい手を打つ」と話した。

「今期は冷食業界としても昨年、一昨年に比べて逆風があった年だろう」。今上期の冷食市場は家庭用が2%増、そのうち弁当は前年割れとなった一方、食卓向け惣菜は3%増と伸びていると見る。業務用は2%増、外食・惣菜向けアイテムが牽引した。その一方で円安、原材料・物流費の上昇によって、利益面で厳しい状況があると述べた。

「冷凍食品の基本価値である保存性や利便性、経済性、時短もあるが、市場の変化に対応してライフスタイル、健康配慮、売り場・買い場の変化への適応、もっと快適食生活の提案――など新しい価値を付けて変えていくことに冷食の価値がある」。同社としては強い商品をより強くすることに加え、冷食の良さが生きるところで市場を拡大していくこと、また良い物を作り、それを伝えていくことで購入客を広げていくこと、業務用でいえば調理現場のオペレーションの課題解決――によって事業拡大していく方針だ。

来期について、家庭用では18年秋に引き続き、ギョーザ、米飯、から揚げにマーケティング資源を集中させる。

吉峯社長は第1に「日本一のギョーザを進化させて大きくする」と強調した。今秋に新発売した「しょうがギョーザ」が想定以上に伸び、ギョーザと一部食い合いになったことから、まずはギョーザで既存客の満足を高めることで100%を超え、しょうがギョーザで今まで食べていない客を取り込むことで、合計120%を目指す。

第2に米飯類のテコ入れを行いたいとした。「ザ★チャーハン」に加え、新商品・改訂品を発売して充実・拡大を図る。第3はから揚げ。「発売20年以上となり販売額は累計1,000億円ほどになる。さらに高い満足を実現して販売を拡大したい」と述べた。

以上をしっかり取り組んだうえで、さらに中堅商品群、「エビ寄せフライ」「えびシューマイ」などいくつかをテコ入れしてトップラインを上げ、ボトムラインもV字回復させるとした。

新領域の商品群について。おにぎり丸は粒の小型化に手間取った遅れが出た。「購入世帯は少ないがヘビーユーザーになってもらっている」として、製品の投入とともにSNSなどでコミュニケーションを広げていく作業を進め、時間をかけて伸ばしていく考えだ。他方、「夜九時のひとり呑み」を発売したおつまみ商品については「来春には新しい手を打つ」と述べた。

業務用については「着実に成長している、課題解決の提案を今後も続ける」。業務用は3月から850品中335品、デザート、餃子、焼売を中心に値上げすると発表した。家庭用のギョーザは品位を高めたことに伴い実質値上げしているが、業務用は仕向け先、品数とも多く浸透しづらいことから、発表に踏み切った。

デザートは人件費率が高く今後、自動化の焦点となる。物流費は運賃が18年は14年比10%増、保管費が27%増と大幅に上昇しているという。来期は「値上げを徹底してくことが課題。来年10月には消費税引き上げがありフードサービス業への影響を注視しながら対応していく。リテールでもイートインの状況を注視する必要がある」と述べた。値上げ交渉に対して卸売からの反発は少ないという。CVSチャネルの取り組みについても触れた。CVSチャネルでは業務用カウンター商材と家庭用を合わせて、売上高は100億円以上となる。特に家庭用は今上期2桁の大幅伸長となった。

家庭用商品は既存のスーパーの客がストック型の購買であるのに対して、買ってすぐに食べるフロー型という違いがあり、冷食市場を拡大させる可能性が高いと見る。販売規模が大きく、価値が認められる市場でもあり「魅力のある市場だ」と述べた。

〈冷食日報 2018年12月6日付より〉