日本水産、おにぎり類で3カ所目の製造拠点・青森県八戸市ハチカン本社工場を報道公開

〈釜炊飯の特性活かした商品開発も〉
日本水産は12月4日、グループ企業であるハチカン(青森県八戸市)の本社冷食工場・常温工場を専門紙誌記者団に公開した。冷食工場では、10月から、おにぎり生産ラインが新たに稼働。1個80g の「大きな大きな焼きおにぎり」および50g の「焼きおにぎり」を中心に生産を開始、日産約20トンをめどに生産を行う。

今回のおにぎり新ラインは、以前は自然解凍シリーズを作っていたが、他工場に移管したことでできた冷凍第2工場の空きスペースに設置。これにより、日本水産のおにぎり生産拠点は八王子総合工場、北九州ニッスイ第一工場に次ぎ、3カ所目となった。

設備上の特長は、連続的に炊飯する八王子、北九州と異なり、冷凍第1工場のドリアラインでも使用している釜式炊飯を採用。それでも約15kg 炊きの釜をコンベア等で移動させて炊飯・蒸らしを行うため、生産性は連続的炊飯とほとんど変わらないという。

一方、釜炊きでは釜ごとに具材を混ぜて炊き込みご飯にしたり、雑穀米にしたりすることが容易で、少量多品種の製造も可能となる。日本水産の中野博史家庭用食品部長は、この釜炊き設備の特性を活かした新商品の投入についても言及した。

新ライン稼働が労働平準化にも寄与今回のハチカン新おにぎりライン稼働で、八王子・北九州と合わせて、日本水産のおにぎり類生産能力は最大で25%拡大することになる。ただ、中野部長は「25%拡大は仮にフル稼働した場合のことで、今回のライン新設の意図はおにぎり工場の平準化がメーン。従来の2工場体制では、ほぼ3直フル稼働で労務上も問題があるほか、人手不足で夜勤担当の人が集まり辛い中、難しくなっていた。3工場体制にすることで、基本は2直体制としながら、在庫も持てるようになった」と説明した。

〈2019年は「大きな大きな焼きおにぎり」30周年、新シリーズ販促も計画〉
日本水産の中野博史家庭用食品部長が家庭用冷凍食品の近況について説明した。

中野部長によれば、2018年上期家庭用冷食販売実績は、全体で5%増。「いきなりステーキ監修ビーフガーリックピラフ」がプラスオンとなった米飯、「若鶏の竜田揚げ」が好調の惣菜、「ちゃんぽん」が好調の麺類が2ケタ増と好調。スナックも5~6%増、凍菜も5%増と伸長したが、ボリュームの大きい弁当品が市場並ではあるものの2~3%減とマイナスだった。

これにより、上期の家庭用冷食におけるカテゴリー別構成比は▽弁当46%▽米飯21%▽凍菜11%▽惣菜8%▽スナック8%▽麺類6%――となり、弁当品の構成比が50%を割った(前年同期50%)。

米飯のうちおにぎり類は2~3%増。焼きおにぎりの売上シェアは過半数で、シェアNo.1をキープしている。

また、看板商品の「大きな大きな焼きおにぎり」は、1989年の発売から来年で30周年を迎える。そのことから、販促活動では現在の「青春のコバラ」をテーマに、部活帰りの中学生にコバラ利用シーンを提案するものから、30周年を記念した新シリーズ販促も計画しているという。

あいさつした中野部長は「上期の家庭用冷食は好調だったが、下期もここまでほぼ同じ動きで推移している。好調の米飯は『ビーフガーリックピラフ』が(再発売から)一巡したので、来春に向けて仕掛けたい。現在、販促活動としては、これまでデリカを買っていた人たちに冷食を買ってもらうために何ができるか、売り場をどう作るかという提案に力を入れている。また、今秋発売した『スープパスタ』では、名古屋地区限定だがTVCMを放映し、想定通りの効果が出た。来春の新商品でも効果がありそうなものではTVCMも検討したい」など述べた。

〈冷食日報 2018年12月7日付より〉