日本水産食品事業、18年4~11月は業務用食品プラス浮上など下期好調

冷食日報 2018年12月21日付
〈原料価格・経費高騰で減益、業務用では値上げも実施=浜田常務〉
日本水産が12月18日、開催した年末記者会見(19日付既報)で、浜田晋吾取締役常務執行役員食品事業執行が、食品事業の概況と今後の方針等について説明した。

日本水産単体での売上実績は、的埜明世社長も言及していた通り、10~11月に好調に推移。食品事業の売上高も上期(4~9月)に食品部門計5%増、そのうち家庭用冷凍調理5%増、家庭用冷凍農産5%増、業務用食品1%減などとなっていたころ、4~11月(速報値)では食品部門計6%増、そのうち家庭用冷凍調理6%増、家庭用冷凍農産7%増、業務用食品2%増などといずれも数値を上げている。浜田常務は「特に業務用食品が大変好調。あとは利益をどうつくるかが課題」とした。

実際、上期の営業利益(単体)は、食品部門計で前年比6億円減の27.9億円と減益となっている。その要因として、原料価格や物流費、労務費などの高騰が挙げられる。

浜田常務によれば、利益への影響額は原料ではすりみ▲2億9,200万円、米▲7,200万円、その他原料▲7,000万円、経費では物流費▲2億0,500万円、▲労務費5,600万円の影響があり、為替で2億6,600万円のプラスがあったものの、合計では前述の6億円減益のうち4億2,900億円を押し下げたこととなった。それもあって、浜田常務は値上げに言及し、同社は20日、すり身製品・業務用食品の値上げを発表している。

18年度とそれ以降も続く着眼点として〈1〉中食市場への対応強化〈2〉「おつまみ」市場定着へ〈3〉健康訴求への対応強化〈4〉生産機能強化〈5〉海外展開の加速〈6〉既存海外事業の強化――の6つを挙げ、〈1〉~〈4〉について要旨次のように説明した(海外食品事業や下期方針等については追って掲載予定)。

〈1〉中食市場への対応強化
特に、夕食作りにも役立つ即食・一食完結・素材(冷凍野菜)を強化。

上期、一食完結商品では、麺が15%増、米飯が16%増と伸長。引き続き育成を図る。惣菜では、家庭用では新基軸の「スープパスタ」や今秋「若鶏の旨だれから揚げ」も追加したから揚げ類、業務用では春巻等伸長し、食卓惣菜が26%増と大きく伸長。冷凍素材も家・業両面で展開する自然解凍の「パパっとベジ」が伸長し、13%増と上期はいずれも伸ばした。

〈2〉「おつまみ」市場定着へ
家飲み需要が拡大する中、まだ十分ではないが、バリエーション強化による売場作りを、他社との協働も含めて提案。上期のおつまみ商品は、冷食で2倍近い94%増、加食で3倍以上の260%増と大きく伸長している。

〈3〉健康訴求への対応強化
EPA 入商品や減塩に加え、魚自体の健康アドバンテージもあり、対応を強化。ただ、上期、減塩は「減塩ほうれん草3種のおかず」等の自然解凍冷食や、「減塩ちくわ」等で27%増と伸長したものの、「海から健康EPAlife」シリーズで展開する機能性は43%減と売場が作れず苦戦。老健も7%減で建て直しが必要。

〈4〉生産機能強化
生産アンバランスと生産性の向上、人材育成に力を入れて取組んでいる。上期の物的生産性は、ⅠG工場(自社工場)で前年比100%、ⅡG工場(関連会社工場)で104%だった。足元の11月はⅠG103%、ⅡG106%と向上している。上期の設備投資は、姫路冷食工場で磯辺揚げ自動箱詰装置導入、安城工場で大型シューマイ成型機導入、八王子の排水処理施設で実施している。下期も生産性向上に繋がる設備投資を実施する。

〈冷食日報 2018年12月21日付より〉