ケイエス冷凍食品、「ミートボールのプレゼンス向上目指す」/斎田直樹社長

ケイエス冷凍食品 斎田直樹社長
〈ミンチ加工技術・ノウハウの数値化、スペシャリストを育成〉
「強みであるミンチ加工技術を活用し、付加価値の高い商品づくりと提案を通じて、ミートボールのプレゼンス向上を目指す」。

昨年3月にケイエス冷凍食品の社長に就任した。冷凍ミートボールシェアNo.1メーカーとしてトップメーカーとして、ミートボールの存在価値を高める取り組みを強めていく考えだ。

ミートボールの食文化はハンバーグ以上に多くの国に根付いているが、日本ではお弁当のおかずのイメージが根強い。さらなる成長にはメニューとしてのミートボールの地位を向上させてることがカギになる。そのために開発・製造と営業の両面で取り組みを進めている。

「ミートボールを脇役から主役に引き上げるためには、付加価値のある商品づくりをしていかなければならない。技術をもっと応用していくことが必要だ」

今年1月に担当部署を設け、蓄積してきたミンチ加工技術・ノウハウを分解・分析し、見える化を進めている。大阪・泉佐野市の自社工場は冷凍ミートボール工場としては国内最大規模を誇るが、一口にミンチ加工技術といっても、やわらかさの調整や肉の配合、タレの製造技術まで奥が深い。それらを細かく数値化することで、あらゆる客のニーズにこたえられる製造技術の基盤を再構築する考えだ。

「ケイエスのミートボールの価値、優位性、使い方など、ミートボールの歴史を踏まえたうえで、お客様ニーズを引き出し、先取りして提案型営業を目指したい」。

営業面では「MBMA(ミートボールマーケティングアドバイザー)」と名付けるスペシャリストの育成に取り組む。営業から数名を選出し、月1~2回勉強会を開いている。

〈自ら考えて行動する集団、しなやかで強い組織に〉
昨年の社長就任から8カ月が過ぎ、新年度に入った1月、新年度の方針として「従業員全体が自ら考え行動する集団となり、しなやかで強い組織づくりを実現する。これを意識して限界利益の創出、収益基盤の再構築に取り組んでいきたい」と掲げた。

営業力強化を目指し、18年度の振り返りと19年度の方針の共有化を目的に、部支店長を中心に“濃厚な”勉強会を実施した。「自ら考え行動し、失敗を恐れずに自らイノベーションを起こすような人材を育成し、そういう集団にしていきたい」と話す。

「しなやかで強い組織」とは昨年の就任時に掲げた言葉でもある。「多様で複雑な変化のなかでも、柔軟な発想で変化に対応する、根気強く探求する信念、頑なにならずにおおらかに許容する――そのようなしなやかさを併せ持った組織こそが強靭だと思う」。自身が様々な企業に所属した経験に裏打ちされた信念だ。

「水昇火降(「水が昇り、火が降りる」)の精神で、頭は冷静に心は熱く、それぞれが仕事に向き合うことが大切」と口元を引き締めた。

今年1月から親会社テーブルマークの執行役員も兼務する。両社間ではこれまでになかった人事だ。「コミュニケーションの円滑化にとどまらず、双方向の意見交換が深まり、新しい流れが生み出せれば」と話す。

両社間で商品回りの交通整理ができていない部分もあり、シナジーを高める余地は多分にあるとみる。

【プロフィル】(さいだ・なおき)1962年4月5日生。東洋大経営学部卒。93年7月ピルスベリージャパン入社。2009年4月加ト吉(現テーブルマーク)、第一営業本部広域営業部長、10年7月ケイエス冷凍食品出向、執行役員営業本部長、11年6月同社常務執行役員、12年6月同社取締役常務執行役員、14年9月桃屋広域営業部部長、15年10月同社営業本部本部長、同年12月同社取締役、18年3月テーブルマーク入社、同月ケイエス冷凍食品社長に就任。

〈冷食日報 2019年3月28日付〉