いわゆる製・配・販の垣根を超えて企業が連携し、リテールAI技術を推進することで、既存の小売業から脱却した“スマートストア”で、生活者が欲しい物が欲しいときに手に入る「新しい購買体験」を提供する――。4月24日にリニューアルオープンするトライアル長沼店(千葉市)は、AIとIoTデバイスを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)を実装した店舗になるという。

トライアルカンパニー、サントリー酒類、日本アクセス、日本ハム、フクシマガリレイ、ムロオの6社は、日本におけるリテールAI技術の推進に向けた取り組みとして昨年11月、リテールAIプラットフォームプロジェクト「リアイル」を立ち上げた。2月25日、その「リアイル」の戦略発表会が都内で開かれた。

トライアルグループ企業・Retail AIの永田洋幸社長が、リテールAIプラットフォームプロジェクトが目指すプロジェクトビジョンについて説明した。

同プロジェクトの目的は、小売・流通・メーカー側の立場としては、AIを活用することによる「ムダ・ムラ・ムリ」の排除であるとともに、生活者に対しては欲しいものが欲しいときに必ず手に入る「新しい購買体験」を提供することだという。

永田社長は、それを実現するためには、テクノロジーよりもオペレーションが重要だとし、「私もシリコンバレーにいたが、テクノロジー優先で消えていったビジネスを多く見てきており、オペレーション=現場が変わることが必要だ」と強調した。

これまでのトライアルの取り組みでは、IoTデバイスをリアル店舗に実装することでDX を進め、リアルタイムで商品と個人をつなぐデータを生み出すとともに、それを連結することで新たな付加価値の創出をしてきているという。

そのデータは、メーカーにとってはよりよいものを作ることに、生活者には欲しい物が欲しいときに買えることに繋げることができる。

4月24日にリニューアルオープンする長沼店(千葉市)でも、これまでに培ってきたリテールAI技術を導入。「同店で実績を作り、リテールAIプラットフォームがこれからの小売にとって必要不可欠であることを実証し、導入店舗を拡大したいと考えている」とした。

また、永田社長は、こうした取り組みを実現するためには、小売・流通・メーカー各社による部分最適だけでは効果が上がらず、全体最適を実現するプラットフォームとして業界全体で取り組み、流通産業の変化を促す方向に繋げることが必要だという。「オープンイノベーション」としてプロジェクトを進めていく方針で「取り組みに参加するメーカー、卸、IT メーカーなど仲間を求めている」とし、他の小売業との連携も既に実現に向けて動いているという。
AIカメラ搭載、リテールAIショーケース

AIカメラ搭載、リテールAIショーケース

なお、この日の発表会では、参加企業がそれぞれの取り組みについて次のテーマで説明した。
▽サントリー酒類(メーカー)デジタルやIoTテクノロジーを取り入れた「スマート」な買い物とライフスタイルの提供について
▽日本ハム(メーカー)リテールAIを組み込んだマーケティングプロセス確立による顧客満足度向上と流通フロー最適化による業務効率化・チャンスロス削減について
▽日本アクセス(卸)リテールAI活用によるデイリー売場の分析と分析データの活用によるチャンスロスを防ぐ取り組みについて
▽フクシマガリレイ(ファシリティ)AIファシリティ企業として取り組むリテールAI
▽ムロオ(物流)製造メーカー、小売、卸 共同配送センターの設置で変わる日本の物流について――。 
 
〈冷食日報2020年2月27日付〉