〈冷食流通インタビュー・小売〉阪急オアシス・石橋博文氏「暖冬の影響もあって苦戦ぎみも、留め型商品の開発に注力」

阪急オアシス日配商品部・石橋博文氏
――今期(2020年3月期)の冷凍食品の進捗

12月までの累計で5.0%減と苦戦している。これまで、毎月2回あるポイント5倍の日に合わせて冷凍食品の割引チラシを打つという販促を行っていたのだが、今期から業務の平準化を目指し、全体の施策としてポイント5倍の日を減らした。そのため、集客面では影響が出ている。また、下期は暖冬で玉うどんの売り上げが落ちたことも前年割れの要因となっている。「ザ☆チャーハン」の休売の影響もある。

カテゴリー別では、調理品・弁当商材が8%減と苦戦している。弁当商材は少子化の影響もあって減少傾向が続いている。改廃をしっかりして、数字を見ながらテコ入れしていく必要があるだろう。弁当商材の低迷は、夕食のおかずとなる商品の数が増えてきていることも影響している。

からあげやギョーザ、シューマイなどの調理品は好調で20%以上伸びており、新商品も増えている。味の素の「しょうがギョーザ」は既に売り場に根付いており、「特から」も当社の冷食売り上げのベスト10以上に食い込んでいる。

米飯は先述した「ザ☆チャーハン」の休売の影響が大きく5%減だ。チャーハン以外のピラフなども前年を割っており、頭打ち感はある。麺類は暖冬の影響で2.5%減だが、それでもうどんは単品で1位の売り上げだ。売り上げが落ちると厳しい。

和風スナックはNB商品ではない、留め型のお好み焼の売り上げが伸びていることもあって、前年並みを維持している。このほか、パスタやピッツァなどのイタリアンは値上げの影響もあって4%減、ポテトが5%減だ。冷凍野菜は2%減となっているが、こだわり商品として国産のカット済み野菜などもそろえており、他のSM(食品スーパー)よりも構成比自体は高いと考えている。

――注力していることは

施策として、ポイント5倍の日が減ったため、普段の日でも買ってもらえるように2週間ごとにアイテムを分けて月刊奉仕品として売り出している。

また、留め型のこだわり商品の開発を進めている。2019年8月にオープンした「キセラ川西店」(兵庫県川西市)からスタートした取り組みだ。現在10品ほど販売しており、副菜となるような商品を集めた「おかずもう一品」というコーナーを中心にアピールしている。

メーカーの協力を得て試食販売を積極的に行ったり、手書きのPOPでこだわりをアピールしたりすることでリピーターも増えてきている。同店で好調なものは他店でも展開しており、副菜だけではなく、主菜やお好み焼などもラインアップしている。今後は和風・洋風スナックや中華なども発売する。現在約20品の新商品を開発しているところだ。

――注目するカテゴリーは

米飯では個食タイプの「WILDish」が昨年注目を集めたが、調理品でも個食タイプの商品が発売すればよいと考えている。魚の切り身など、食べきりタイプの商品が増えれば、来店客の選ぶ幅が広がる。また、冷凍食品には健康軸の商品が少ない。こだわり商品も含めて、今後店頭に並べていきたい。

――今後の取り組みについて

留め型商品は利益の支えにもなるので、引き続き開発に力を入れる。ピザやグラタン、ドリアといった商品はまだ開発しておらずアッパー過ぎない398円程度の価格帯で発売したい。

冷凍食品は必ず伸びていく分野だ。味がよく保存も利く。手抜きというイメージもなくなりつつあり、競合ではあるが、ドラッグストアやコンビニでも販売は伸びている。今後、高齢者が増えていく中で、毎日買い物できない人は日持ちする冷凍食品を買う頻度が増えていくだろう。それに合わせて、やはり冷凍食品も個食化した少量サイズのニーズが高まっていくと考えている。

〈冷食日報2020年3月2日付〉