冷凍野菜の2019年輸入数量は過去最高の109万トン、国産品は緩やかな回復

冷凍野菜の国内生産と輸入高
2019年1~12月の国内の冷凍野菜供給量は5年連続で前年を上回り、3年連続で過去最高を更新した。とりわけ国内供給量の9割以上を占める輸入品は、109万トンと過去最高を3年連続で更新した。

前年は冬場の天候不順による生鮮品の供給不足を受けて、凍菜需要が急拡大したが、19年はファストフード業態の好調を受けてポテトの輸入量が増加。そのほかの品目も堅調に推移した。国産品の減少傾向には歯止めがかかった。カボチャなど北海道産原料が豊富だったことが要因だが、輸入品頼みの状況は依然強まっている。

2020年に入り、新型コロナウイルス感染拡大の影響は供給面については限定的といえるが、需要面については外食、給食産業向けの需要の急減、それに対して加工食品向けや家庭用の需要拡大と、大きく変化が生まれている。凍菜の供給事業者にも市場の変化をとらえた対応が迫られている。

財務省が発表した輸入通関実績に基づく冷凍野菜の輸入数量と日本冷凍食品協会が発表した国内の冷凍野菜生産量を合計した、19年の国内凍菜供給量は116万3,221トンと、前年より3.5%増加した。

そのうち輸入凍菜は前年比3.6%増と伸び、5年連続で前年を上回った。主要品目ではポテトとブロッコリーが堅調な伸びを見せたものの、ほうれん草など前年を下回る品目も目立った。牽引役となったのは「その他」に分類される品目で、ベトナム産が存在感を高めている。

金額ベースで見ると2014億円で前年比5.1%増。米ドル円相場は19年は小幅な円高傾向となったものの影響は小さく、品目によって単価の増減は区々となっている。

国産品はようやく減少傾向に歯止めがかかった。もっとも7万トン台に復帰したとはいえ、低水準が続いている。凍菜供給量全体に占める割合は6.2%と前年並みにとどまった。

家庭用など国産品の新たな需要は高まりつつあるが、16年に国産品が供給不足に陥った際に輸入品で代替したユーザーを戻し切れていない状況がある。さらに根本的な課題として加工用野菜の生産者の減少がある。

今年に入り、凍菜の輸入数量は19年1~3月累計で2.8%増と堅調に推移している。2月は中国の減少が影響し、全体で1割減と落ち込んだが、3月には反転増加した。

今後、ボリュームの大きい外食向けの需要については先行きが不透明だが、いわゆる“巣ごもり消費”によって、家庭用は大きく伸びている。POSデータ(KSP-POS)によれば冷凍農産品の1~4月の累計販売金額は前年同月比17.1%増に、4月だけを見ると3割増と大幅に伸長した。

またさまざまな加工食品の需要が伸びているため、原料となる凍菜についても、加工食品メーカー向けの需要が拡大している。凍菜の供給事業者にとって、外食・給食向けの減少をカバーするには、これらの需要を取り込んでいく必要がある。

〈冷食日報2020年6月10日付〉