〈気仙沼工場は建物引き渡しを実施、早期フル稼働に向け準備 〉
ヤヨイサンフーズは今期(2021年3月期)の経営方針として
〈1〉売上拡大への再チャレンジ
〈2〉成長エンジンの構築
〈3〉働き続けたい企業にする
〈4〉気仙沼工場フル稼働の実現
――の4つを掲げ、コロナ禍以降の変化にも対応していく。7月8日、業界専門紙の合同取材に対し、黒本聡社長が方針等について説明した。

〈1、売上拡大への再チャレンジ〉
2019年度売上高は期末のコロナ禍の影響もあり、前年比1.6%減369.1億円と減収、今期第1四半期もコロナ禍影響で89.7%と苦戦しているが、早期の回復を目指す。自社工場品が8割以上を占めるため、売上拡大が工場稼働率向上、ひいては収益拡大にも繋がる。

そのためにも、市場ニーズを捉えた商品開発・投入を進める。近年発売した人手不足対応商品は好評を博しており、拡大を図る。また、昨秋新商品から展開する「イートベジ」シリーズは健康志向の高まりから導入が進み、1年足らずで100万食を突破し、手応えを感じているという。さらに、伸長カテゴリーである介護食のさらなる拡販にも努める。

〈2、成長エンジンの構築〉
伸長する介護食に続く、将来的な成長エンジンの構築のための施策を行う。1つは、収益力向上プロジェクトを設置し、収益力の向上を図る。佐々木尊司専務を中心に、営業、生産、管理各部門からメンバーが集まり、全社一丸で横串を指した形でさまざまな角度から収益力向上を目指すとともに、成長に繋がる種を見出す。

2つめは将来の生産体制の構築。商品数は多岐にわたるが、実は半分のアイテムで売上の大半を占めており、商品改廃も含めて生産体制を見直していく。

3つめは海外市場への進出。昨年、輸出EXPOに初出展し、香港等でアジア圏での輸出が進み始めた。具体的には、大手量販店のアジア進出店舗や、高所得者向け老健施設への介護食の導入等がある。かねてより進めていた北米市場向けは、サンプリングを進めた所でコロナ禍により中断となったが、引き続き実現を目指す。

〈3、働き続けたい企業にする〉
黒本社長就任当初より、働きやすい環境作りに注力してきており、ハード面では工場の環境整備や設備導入による省力化を進め、人事面での見直しも進めてきた。一方、昨年設置した未来プロジェクトでは若手から社内環境整備のさらなる推進を求める意見もあり、特に若手、女性社員による若手・女性活躍推進プロジェクトを発足。もう一段進めた取組みを実施する。

〈4、気仙沼工場フル稼働の実現〉
新築を進めてきた気仙沼工場は既に7月1日、正式に建物が引き渡され、10~11月の本格稼働に向けた準備を進めている。稼働後すぐのフル稼働を実現するため、煮魚・焼き魚、介護食、水産カツの3ラインで具体的商品への落とし込みを進める。既に煮魚・焼き魚は得意先から手応えがあり、介護食は同社のソフリのほか、マルハニチロ商品の製造が決まっておりある程度目処が立っているところで、水産フライは評価の高いエビカツを柱に、他の魚種等の独自新商品、OEM製造など検討していく。

また、これら以外の施策としてコロナ禍で一気に進んだテレワークの制度化、宅配ルートの開拓、社会貢献活動(KIDS-シェフ、カンボジアヤヨイ学校等)の継続等を挙げた。

〈コロナ禍影響で1Q売上89.7%も個包装品伸長、宅配ルートに注目〉
黒本社長は、コロナ禍の影響で先を見通せないため、今期の数値目標は明らかにしなかったが、第1四半期(4~6月)の売上高は前年比89.7%と苦戦しているという。コロナ禍の影響が色濃かった4~5月、学校給食が前年比25.6%、外食が45.9%と厳しい数字となったことが要因だ。ただ、学校給食は6月、前年を超えるところも出ており回復は早そうだが、外食は回復に時間がかかると見通した。

また、外食・給食向けでは在庫が増加しており、工場では休日に振り替える等で生産調整をせざるを得ない状況だという。

一方で、在宅勤務の増加もあり、冷凍パスタ「オリベート」116%、グラタン118%、ドリア102%と、個包装タイプの商品が市販用売場や通販で好調。黒本社長は「宅配ルートはチャネルとして非常に注目しており、BtoCもできるところからやっていきたい。今さら家庭用冷食を作るわけではないが、宅配、量販売場でも使える汎用性のある商品は強化したい」という。

〈冷食日報2020年7月9日付〉