コープこうべ コロナ禍で大きく伸長、ワンプレート「フローズンデリ」注力/小売バイヤーインタビュー岸本明日香氏

コープこうべ「めっちゃ旨い牛そばめし」
〈生活協同組合コープこうべ商品部日配総菜・食品日配担当係長岸本明日香氏〉
コープこうべ 岸本係長

 
――今期(2021年3月期)の冷食の販売状況について
 
4月から12月までの累計で前年比14%増の16.7億円と非常に伸びている。2020年の2月末頃から新型コロナウイルス感染拡大による特需が始まり、冷食の売り上げが拡大した。4月に緊急事態宣言が出されたため、特売の実施を取り止め、定番商品の調達に注力した。それでも供給が追い付かないことがあり、定番以外の商品や業務用の商品を置くこともあった。6月以降落ち着き始めたのだが、それでも売り上げは好調だ。
 
カテゴリー別では、おかず類27%増、凍菜24%増、麺類21%増、米飯13%増、中華13%増、弁当3%増、スナック1%増となっており、すべてのカテゴリーで前年を上回っている。凍菜は基本的に農産品の相場に影響されるのだが、野菜がそれほど高くなかった2020年12月でも20%増を維持しており、今まで凍菜を使ったことのなかった組合員に定着したという実感がある。
 
また、他の量販店と同様、麺類や米飯といった主食となるカテゴリーも良く、麺類では特にパスタが伸長した。弁当は5月まで売り上げが30%減と厳しかったが、秋から商品の入れ替えを行い、コープ商品を拡充したことが奏功し、思いのほか良かった。
 
――中でもおかず類が好調
 
もっとも売り上げが伸長したおかず類は、唐揚げなどの定番品が伸びたほか、注力している「フローズンデリ」コーナーの商品も好調で、売り上げに寄与した。2019年から改装店を中心に導入を進めているコーナーで、ハンバーグやグリルチキンなど、メインのおかずに副菜となる野菜を添えたワンプレート商品や「青の洞窟GRAZIA」シリーズなどのやや高質なアイテムを20品ほどラインアップしている。
 
400円程度と定番の冷食と比較すると高価だが、プロモーション用の動画を独自に製作し、売り場のデジタルサイネージでアピールすることで夕食需要を取り込んでいる。今後も価値訴求を続けて拡大させていきたい。
 
また、「フローズンデリ」コーナーには一部のミールキットも実験的に並べている。ひと手間かける必要があるが、冷凍だと質を追求することができる上、長期保存も可能だ。まだまだミールキットに関しては立ち位置もあいまいで売り方を模索しているところだが、おいしさを実感してもらい、価格よりも価値で訴求していきたい。
 
――今期の反省点は
 
好調だったとはいえ、6月から9月にかけて米飯が市場ほど伸びなかった。スナック類に関しても価格設定を高くし過ぎた。来期は価格の打ち出し方を考えていきたい。また、反省点ではいかないが、若年層の来店客を増やすため、問い合わせが多い乳幼児食向けの「きらきらステップ」シリーズ導入も広げていきたい。
 
――コロナ禍から約1年経った現状は
 
プロモーションをかけていない定番の唐揚げやシューマイ、凍菜などの構成比が上がっている。ローリングストックで食べたらすぐに買い足すサイクルが冷食の購買にも定着したのではないか。この春もメインとなるおかず類の商品が伸びると考えている。
 
春の新商品のおかず類では、味の素冷凍食品の「大海老焼売」に注目している。レンジ以外にせいろで調理する方法も紹介しており、簡便のほか、調理の楽しさという切り口で提案できる。また、おかずではないが、キンレイの「お水がいらないカドヤ食堂 中華そば」は家で有名店の味を楽しめるため、コロナ禍でお店に行けない消費者の需要を取り込めると期待している。
 
――来期の取り組みは
 
来期は当組合の創立100周年となる年だ。記念商品として、「コープこうべのめっちゃ旨い牛そばめし」を発売中だ。神戸発祥のそばめしの有名店の味の研究を重ねて開発した自信作だ。今後も、「フローズンデリ」コーナーで兵庫の食材を使った商品を2品発売するほか、ご当地系の新商品の開発も検討している。これを機に、冷食のおいしさをさらに訴求していきたい。
 
〈冷食日報2021年2月25日付〉