冷凍パン「PAN&(パンド)」市販向けの販路拡大に手応え、急速冷凍で“焼き立ての味わい”/スタイルブレッド

スタイルブレッド「PAN&」商品例
一般消費者向けの焼成後冷凍パンブランド「PAN&(パンド)」を展開するスタイルブレッド。内食・中食需要の高まりを追い風に、販路を大きく拡大出来ているという。また、幼稚園や保育園などにもアレルゲン対応のパンなどを販売し、着実に支持を広げている。現状やコロナ禍での変化などを広報担当に聞いた。

〈創業のきっかけはアメリカの冷凍パン〉
どうして冷凍パンに着目したのか。原点は創業者の田中知社長がアメリカで食べた冷凍パンにあった。

スタイルブレッドを立ち上げたのは2006年。それ以前は、群馬県内にある普通のパン屋だった。当時の田中社長にとって冷凍パンは、保存のための備蓄品というイメージで、焼き立てのパンには到底かなう代物ではないと考えていた。

しかし、視察で訪れたアメリカで冷凍パンを実際に食べたところ、その考えは大きく変わった。店舗で食べるような焼き立ての味わいだった。聞くと、焼き上げた後に急速冷凍を行うことで、でんぷんの劣化や水分の蒸発などを防ぐことができるとのことだった。

パンは焼き上げた瞬間から水分が失われる。でんぷんの劣化も起こるため、食感は悪くなる。パンを焼き上げて急速冷凍を行うことで、劣化を防ぐことができる。家庭で食べる際は焼き立てのような味わいを楽しめる。

この焼き立ての味わいを知ってほしいという思いから、スタイルブレッドを立ち上げた。ホテルやレストランなど業務用として提案を進め、3,000社以上との取引実績があるという。

〈市販はCMやキャンペーンに注力、幼稚園などに提案も〉
新型コロナウイルスの影響で主力だった業務用商品の売上は「大きく落ち込んだ」(広報担当)。ホテルなどでインバウンド需要を見込んでいたこともあり、影響は大きかったという。その分を補うべく注力しているのは、市販品の販売と、幼稚園などへの提案だ。

市販向けの提案は「パンド」ブランドを立ち上げて、2018年3月に通販サイトを開始した。ターゲットは、普段からパン屋でパンを買う人を想定し、販売を本格化している。

現在は、スーパーでの販路拡大に力を注いでおり、クイーンズ伊勢丹や明治屋、紀ノ国屋など、取り扱いは順調に広がっているようだ。コンビニでも、2020年9月に関東圏のセブン-イレブンのみで実験的に販売する商品を製造した。2021年4月からは別の商品の販売を、神奈川県内の一部店舗で開始した。

初のテレビCMも2021年4月から放映を開始した。広報担当は「スーパーのバイヤーから美味しいと言ってもらえるが、認知が足りないためか購入につながりにくかった。そこで、広く知ってもらうためにCMを放映している」と話す。SNSと連動したキャンペーンにも取り組み、更なる拡大を図っている。

幼稚園や保育園向けの提案は、「3年ほど前から開始した」(広報担当)という。卵アレルギーなどに悩む人が多く、街のパン屋で買う場合は卵や乳成分を使っていない別のパンを探す必要があった。スタイルブレッドの場合、ホテル向けに多彩なパンを扱っており、アレルゲン対応などができていた。保存料や合成着色料も使っていない。こうした点が、保育園などから安心を得られたという。冷凍パンはストックできるため、いつでも食べられる点もメリットだった。

また、業務用はこれまではホテルなどに卸していたが、最近は個人店にも販路を広げている。今後について、市販の場合、依然として通販サイトの方が売上は大きい。今後はスーパーなど取扱店をより増やし、通販サイトと同等の売り上げ確保を目指す。店舗連携した取り組みも検討する。

広報担当は「良さが伝わるよう、様々なアプローチで広げていければ」と語った。

◆「PAN&(パンド)」公式通販サイト

〈冷食日報2021年4月30日付〉