ヤヨイサンフーズ“中食”売上回復目指す、介護食のリーディングカンパニーに/2021年度方針

ヤヨイサンフーズ 大西社長
ヤヨイサンフーズの大西宏昭社長は5月21日、都内会議場で記者会見し、2021年度の方針について話した。

「すべての基本は安全・安心」という基本姿勢、「『食』を通じてお客様の健康で豊かな生活づくりに貢献する信頼された企業を目指す」という方針は引き続き維持した上で、経営方針として〈1〉コロナ禍以前の売上回復〈2〉気仙沼工場のフル稼働〈3〉収益力の強化〈4〉強みのある介護食でリーディングカンパニーを目指す〈5〉働き続けたいと思える企業の構築――の5つを挙げ、それぞれ要旨次のように説明した。

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〈1〉コロナ禍以前の売上回復
コロナ禍で人々の働き方・価値観が大きく変わった。求められることが変化しており、これまでの事業活動の変革が必要だ。中食・外食・給食市場、いずれも変化に対応せねばならないが、中でもヤヨイサンフーズの売上の6割を占める中食市場で特に市場変化にしっかりと対応し、挽回する必要があると考えている。

ヤヨイサンフーズでは40近い商品カテゴリーを手掛けており、市場変化に対応できる多様な商品があることは最大の武器だと考えている。惣菜ルートにはパック商品の提案強化を、テークアウト需要に対しては簡便調理の提案を、宅配ルートへは通販ルートの拡大、2020年に開設したECサイトの拡充を図っていきたい。数値目標としては売上高379億円、営業利益4億円を目指す。

〈2〉気仙沼工場のフル稼働
2020年11月に気仙沼工場が稼働を開始し、焼き魚をはじめとする新たな商品を生産できるようになった。同工場の魚原料の6割が気仙沼の魚で、国産志向が強いユーザーへの提案を強化するとともに、新たに発売したトップシール品の煮魚・焼き魚を宅配、ドラッグストア、CVSなどの家庭用ルートへしっかりと提案していく。気仙沼工場のフル稼働が最終形ではなく、次のステップである第2工場の増設に向けて取り組んでいきたい。

〈3〉収益力の強化
2020年度、各部署横断型の収益力向上プロジェクトを発足し、取り組んでできた。2020年度に課題として見えたことを製・販・管一体となり収益力を高め、他社に負けない強い企業体質を構築したい。生産においては、生産性の見直しや機械化による生産効率向上、営業においては単品管理の徹底や効果的なアイテム集約、カテゴリーNo.1商品の育成、管理本部においては管理コストや業務フローの見直しなど、1人ひとりが収益を念頭に置いた取組を行い、今年度の売上・営業利益目標達成に繋げたい。

〈4〉介護食のリーディングカンパニーを目指す
ヤヨイサンフーズの介護食「ソフリ」は、業界でまだ介護食への取組がさほど多くなかった2004年に発売を開始。味や形状の品質の高さから多くのお客様から支持を頂いていると自負している。気仙沼工場の稼働により、これまでの倍の生産が可能となり、5年後には介護食全体で1.5倍の売上高を見込んでいる。

技術面、生産能力、売上規模からしても介護食のリーディングカンパニーになるべきだと考えており、マーケットニーズに即した開発、気仙沼工場フル稼働によるコストダウン、海外展開によりその実現を目指したい。現在、介護食市場シェアではトップが(親会社の)マルハニチロ、3位が当社と見ている。両社で商品をすみ分けて取組んでいるが、気仙沼工場では一部マルハニチロ商品のOEMも手掛ける。

介護食は、1件当たりの販売数量が小さく手間がかかる業態ではあるが、気仙沼工場で新たに導入した連続ライン(※従来の九州工場ではバッチ式生産していた)のフル稼働で、コストを大幅に削減して対応したい。また、マルハニチロとの間でマーケット情報の共有なども進めたい。

〈5〉働き続けたいと思える企業の構築
2019年の未来プロジェクトで挙げられた職場環境の問題解決に向け、若手女性活躍推進プロジェクトを発足させた。どのようにしたら、若手社員が将来もヤヨイサンフーズで働き続けるイメージを持てるか、働き続けたいと思えるか、男性女性にかかわらずさまざまな外部要因を経ても活躍し続けるにはどうしたらよいか、引き続き検討し取り組んでいきたい。未来プロジェクトは、社員と役員が協議しながら改善を行える場であり、社員の意欲向上にも繋げることができると考えている。

〈冷食日報2021年5月25日付〉