新団体「フローズンエコノミーラボ」設立、冷凍品の可能性を模索/パンフォーユー 矢野健太社長インタビュー

パンフォーユー 矢野社長
〈5年以内に100社目標キャンペーンや情報発信の共同実施など検討〉
冷凍パンの販売などを行うパンフォーユー(群馬県桐生市)を幹事会社とし、丸山製麺(東京都大田区)や、まねき食品(兵庫県姫路市)などが参加するコンソーシアム(共同体)「フローズンエコノミーラボ」が9月2日に設立された。

冷凍食品を扱う会社だけでなく、家電のレンタルを行う企業や不動産ディベロッパーなど、業種だけでなく年代の幅も広い。コンソーシアムの設立で、冷凍品に関する正しい情報の発信や、フードロス削減への寄与、冷凍庫の2台目の利用促進などを行い、冷凍にまつわるサービスや商品の更なる普及を目指す。

パンフォーユーの矢野健太社長に聞いた。

――冷凍食品市場の動向は

コロナ以前から伸長していたが、コロナ禍に入ってから利用される方はより増えた。初めて利用する人や久々に食べた人もいたと思う。創業当時の5年前と比べるとイメージも大きく変わっている。スーパーやコンビニなどでも冷凍食品の売り場を拡げており、存在感は着実に大きくなっている。

パンフォーユーにおいても販売は順調で、個人向けのサービスとして2021年2月末から実施している、全国のパン屋さんのパンを定期的に自宅へ届けるサブスクリプションサービス「パンスク」は、「巣ごもり需要」の高まりを受けて伸びている。少しでも美味しいものを食べたい、という傾向が強まっているように感じる。

オフィス向けの販売は、緊急事態宣言の発令された2020年春は需要が下がったものの、今は回復している。テレワークに移る企業が増えたものの、終日出社されている方も大勢いる。エッセンシャルワーカーの方の利用も増えた。様々なパンがある中で、加盟していただける店舗を増やし、より魅力的なサービスにできればと思う。

――改めて、「フローズンエコノミーラボ」設立の背景は

「パンスク」のサービスを手掛ける中で、一般消費者やパン屋さんに冷凍の良さをまだまだ理解してもらえていないと感じることがあった。この課題は他の冷凍食品メーカーでも抱えていたという話を聞いていて、同じ課題を感じている会社に2021年の7月頃に声をかけ、今回の発足に至った。それぞれの企業のつながりから集まっており、冷凍食品を販売するメーカー以外の会社にも参加していただけて、多彩な顔触れになっていると思う。

コンソーシアムでは、冷凍品の販売や、それを活用したサービスなどを手掛ける企業だけでなく、冷凍技術の進化や調理器具を含めた電化製品、資材、物流など、冷凍品にまつわるあらゆるものを含んだ経済圏を「フローズンエコノミー」と呼んでいる。昨今、外食や旅行に代わる価値を提供するサービスも登場しており、この市場は今後も伸びると考えている。会員企業同士の情報交換などを通じて冷凍品の幅広い可能性を探れればと思う。

――冷凍食品の将来性をどう感じているか

コロナ禍に冷凍食品を喫食する機会が増えたことで、イメージが変わった人もいる。外食や中食の垣根も薄れてきている。消費者の趣味や嗜好(しこう)が多様化する中で、食事の選択肢は限られており、冷凍品は中小企業にとってもチャンスだ。こういった時勢なので消費者の行動は読みづらいが、参加企業と一緒に可能性を広げていきたい。

――検討している取り組みは

普及促進に向けてリリースの配信やキャンペーンの共同実施を検討している。将来的には、共同配送によるコストの見直しや、マンションなどの共有部分における冷凍の宅配に関する実証実験なども検討したい。一般消費者向けの情報発信もできればと思う。他の団体ともぜひ一緒に何か取り組めればと思う。参加企業同士で勉強会や情報交換なども進めていく。

設立の発表をしてから、ぜひ参加したいという声は多く頂いている。参加の特別な基準は設けていない。取り組みへ賛同していただける会社に参加してもらえたらと思う。5年以内に100社の参加を目指したいと考えており、業種業態などを問わず一度気兼ねなく声をかけてもらえたら。

〈冷食日報2021年10月1日付〉