マルハニチロは8月1日、家庭用冷食の新商品として「新中華街極旨!ももから揚げ」(500g)を発売した。

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同社ではこれまでも家庭用冷凍鶏から揚げ製品を手掛けてはいたが、プライベートブランド・留型などが中心で、本格的な参入は今回からと満を持した商品となる。競合も激しい鶏から揚げカテゴリーに挑むのはなぜか、その開発背景などについて、開発部商品企画グループ市販用冷凍食品課の林聡史課長に話を聞いた。

今回、新たに鶏から揚げを投入する背景には、いくつかの要因が挙げられる。

1つは家庭用冷食市場における惣菜、特に惣菜畜肉から揚げの伸長だ。

2020年度、コロナ禍による特需もあり、家庭用冷食市場が拡大したが、ここ10年間の市場を見ると、その中身は変化してきている。同社の調査によれば、100人あたり購入金額をカテゴリー別に見ると、2010年度以降ずっと弁当品が首位だったが、2019年度に麺類が逆転、2020年度には惣菜にも抜かれ、凍菜にも肉薄された。市場牽引カテゴリーは直近で明らかに弁当品から麺類・惣菜・凍菜に移行している。また、伸長率で見ると2020年度と2010年度の比較で、100人あたり購入金額は、家庭用冷食全体は51.2%増のところ、惣菜が2.5倍の151.1%増、凍菜が83.9%増、米飯が75.9%増と、惣菜・凍菜・米飯が特に高い伸び率となっている。

さらにカテゴリーを細分化して見ると、「畜肉惣菜から揚げ」はこの10年の冷食市場をけん引しているカテゴリーの1つであり、2010年度比71%増と伸長、市場構成比も2010年度は3.5%の7位だったが、2020年度は6.0%でパスタ、ギョーザに次ぐ第3位に地位を高めているという。

そして、食卓での出現率も高まっている。ある調査によれば、冷凍鶏から揚げの使用シーンは、2017年度は弁当が58.5%と6割近くを占めていたが、2020年度には41.1%に縮小、逆に食卓(朝食・昼食・夕食の計)が58.3%と約6割を占めるよう逆転。冷凍から揚げの用途が弁当から食卓へと移行しているという。また、次の背景として、冷凍から揚げの市場シェアがまだまだ低いことが挙げられる。

マルハニチロの推計によれば、鶏のから揚げの全体市場規模は、インストア惣菜、外食(専門店・テークアウト含む)、手作り、冷食(市販用)の計で5,190億円と見られるが、冷食の構成比は6.5%にすぎず、まだまだ伸ばせる余地があると見る。

その裏付けの1つとして、惣菜売場と冷凍食品のから揚げの伸長率が挙げられる。2020年の市場では、コロナ禍で家庭内喫食が増える中、惣菜売場の惣菜の需要が、冷凍食品の惣菜にシフトする動きが見られたという。消費者の購買行動で「まとめ買い」が顕在化する中で、日持ちしない惣菜売場の惣菜から、保存性の高い冷凍食品の惣菜を選ぶ人が増えていると推測される。たとえば、2021年3月の市場データを見ると、冷食から揚げは前年大幅伸長の裏で前年比若干マイナスだが、2019年3月との比較では冷食から揚げが23.1%増、惣菜売場のから揚げが0.4%増と伸長率に差が出ているという。

そしてもう1つ、背景として現在から揚げがブームとなっており、専門店が好調であることも挙げられる。

冷凍惣菜から揚げが躍進しているところであるが、今特に勢いがあり、急激な伸長を見せているのがテークアウトのから揚げ専門店だという。日本唐揚協会のデータによれば、2021年4月現在のから揚げ専門店の数は全国で3,123店舗と推計され、1年間で678店舗、27.7%増加したという。これがから揚げブームの火付け役となっていると見られる。

そうした中で、現在のから揚げのトレンドを見ると、衣はバッター衣(水溶き粉)からブレッダータイプ(まぶし粉)の薄衣に、サイズは1個25gから35gほどの大粒に変化しており、従来の厚い衣でふんわりとした食感から、薄衣で肉のサイズをアップすることで、より肉感を感じられる仕立てに変化しているという。

このトレンド変化の立役者となったのが、大分・中津のから揚げで、2009年に名店「中津からあげもり山」が東京に出店したことを皮切りに専門店の出店が増え始めており、大分から揚げ専門店の特徴が現在のから揚げのトレンドとしても浸透したと考えられる。

〈冷食日報2021年10月4日付〉