ロイヤルホールディングスという会社名から、「ロイヤルホスト」を連想する人は少なくないだろう。2021年で創業70周年を迎えた同社は、「ロイヤルホスト」や「ロイヤルガーデンカフェ」、「てんや」といった飲食店や、冷凍食品「ロイヤルデリ」なども展開している。そもそも、この「ロイヤル」という名前はどのようにつけられたのか。聞くと、会社としての想いだけでなく、利用してきた人たちのイメージもブランドと結びついていた。

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〈「ロイヤル」は創業者が好きな言葉〉
「ロイヤル」の名前を初めて使ったのは、1956年にロイヤル株式会社の立ち上げ時だった。1951年に機内食と喫茶店の営業から事業は始まり、セントラルキッチン方式を日本でいち早く採用した。1970年には大阪万国博覧会へ出店し、1971年に「ロイヤルホスト」の1号店をオープンするなど、事業を拡大させてきた。今では、外食業界で有名な企業の一つだ。

同社で「ロイヤル」の名前を使って展開している事業はいくつかあるが、主要なブランドは「ロイヤルホスト」と「ロイヤルガーデンカフェ」、冷凍食品の「ロイヤルデリ」の3つだ。高い品質の料理を、手軽に、多くの人に楽しんで欲しいという思いは共通しているという。

そもそも、「ロイヤル」という名前はどのように決めたのか。ロイヤルデリ担当部長の庵原リサ氏によれば「創業者の江頭匡一氏が大好きだった言葉で、「世界にはばたく」「王者の風格」というイメージを連想させるため、採用されたと聞いています」とのこと。

品質面やおもてなしなど、妥協せずに力を注ぎたい、という決意表明でもあるようで、現在のコーポレートメッセージは「日本で一番質の高い“食”&“ホスピタリティ”グループを目指す」を掲げている。

また、1956年に制定された同社の経営基本理念にはこう書かれている。「ロイヤルは食品企業である。お客様から代金をいただくからには、一、食品は美味しくなければならない。一、調理・製造も取扱いも衛生的でなければならない。一、サービス・販売は、お客様の心を楽しませ、社会を明るくするものでなければならない。以上のつとめを果す報酬として、正当な利潤を得られ、ロイヤルも私共も、永遠に繁栄する」。

これが「ロイヤル」というブランドの根幹を作っているという。料理の質を高めるとともに、食器やロゴ、店舗の外装などデザイン面にも注力し、店としての質を高めた。加えて、店内の色は独自で配合した色を使っている。

こうした金銭的な価値に換算できない部分への投資は、企業にとってリスクがある。それにもかかわらず、料理や内装、調度品までこだわり、ブランドの世界観を作り上げ、その結果として多くの人から支持を得ることができた。

〈外食企業の人たちは「自分たちのブランドが好き」?〉
ブランドイメージは社内でも共有できているという。広報担当は「店舗やメニュー開発に至るまで、共通した『ロイヤルらしさ』のイメージを持てています」と話す。

庵原さんは「ロイヤルという言葉自体を好きという人もいて、ブランドへの愛着が深い人も多いです」と語る。「イメージがしっかりしているからこそ、社員は『ロイヤル』がどんなブランドか、共有できているのだと思います」と推察する。

同社の広報担当は「そもそも、外食企業にいる人の多くは自分たちのブランドが好きだと思うんです。提供する料理は私たち自身も食べていて、そこからブランドへの親しみはより深まっていくのではないでしょうか」と話す。「もし、オニオンスープの飲み比べとかをしたら当てられるんじゃないかってぐらい、味覚が馴染んでしまっています」と笑う。

また、社員の中には自身の子供が幼いころから「ロイヤルホスト」などに連れて行くことも多かったという。そのためか、「外食をするとなると、子供から『ロイヤルホストに行きたい』と言われることが多くて、だいたい当社で運営している店舗のどれかになることが多いです」というエピソードもあった。

〈共通イメージは「ちゃんと作っている」〉
「ロイヤル」とつくブランドで最も新しいものは、2019年から本格展開を始めた「ロイヤルデリ」だ。冷凍食品ブランドで、「世界各国の味を家庭でも楽しめる」をコンセプトとしている。想定する利用者は40代前後。共働きや家事で忙しい人が、美味しい食事を週に1度ぐらいは手軽に楽しんでほしいという思いで商品を開発している。

ブランドイメージを調査したところ、「ロイヤルホストと共通するイメージは、『ちゃんと作っていること』でした」(庵原さん)と話す。

「ロイヤルホスト」自体のイメージと、「ロイヤルデリ」が結びついているところもある。ロイヤルという名前からロイヤルホストでの食事の経験を思い出す人も少なくないそうだ。それが「ちゃんと作っている」というブランドイメージにつながっていると推察できる。

外食は、ただ食べるだけでなく、誰と、どこで食事をするか、という「体験」も重要になる。店舗での食事の思い出も、ブランドイメージに大きく寄与していると考えられる。

庵原さんは「食生活は十人十色。だけど、顆粒で作ったコンソメスープと、食材を長時間かけて煮込んで作ったコンソメスープでは、手間はかかるけど味が全く違います。そこの食事の本質的な部分を大切にしている方の想いも大切にできたらという考えも、実はあるんです」と力を込める。「そこは裏切れない部分であり、会社の考えとも共通したところなのかもしれません」と加える。

〈変わらない部分、変える部分〉
「ロイヤルホスト」と「ロイヤルデリ」。展開こそ異なるが、どちらも食を楽しんで欲しいという思いは共通している。創業時につけた「ロイヤル」という名前と世界観の中核を、壊すことなく築き上げてきたからこそ、ブランドとしての軸は今も変わっていないのかもしれない。

庵原さんは「ブランドというもの自体、お客様との約束事だと思うんです。お金に変えられない価値を守ってきたからこそ、軸はぶれずに取り組めたのだと思います」と力を込める。

古さに固執しているわけではない。例えば料理で、時代ごとに味覚は異なるため、定番品であってもその時代に合わせた改良を行ってきたという。「ロイヤルホスト」のロゴも、1971年当時は全て大文字だった。その後、多店舗化を進める中で、「親しみを持ってもらえるように、RとHは大文字で、その他の文字は小文字にして、優しさを感じられるようなロゴに変わりました」と広報担当は話す。

庵原さんは「細かなことにも力を注ぐことで満足感につながり、利用された方の思い出になっていく。そして、次の世代の方たちにとっての思い出にもなれたら、本当に嬉しいです」と語った。

〈冷食日報2021年12月14日付〉