ヤヨイサンフーズ 2021年4〜11月業績は増収増益で2019年並に回復、介護食ではマルハニチロとの連携強化も

ヤヨイサンフーズ 大西社長
ヤヨイサンフーズの4〜11月までの業績は、売上高が前年比106%の245億円、営業利益が1.8億円(前年同期は赤字)と増収増益となった。売上高はほぼ2019年同期並まで回復した。

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12月21日、東京・芝大門の本社で大西宏昭社長が業界専門紙に対する会見に応じ、業績や方針などについて話した。第1四半期の売上高は前年比113%(2019年比101%)。前年に休校で給食が中止となった裏年に当たることも押し上げた。第2四半期は前年比102%(2019年比97%)。緊急事態宣言発令もあり、第1四半期からは落ち込んだ。これにより、上期合計では前年比107%(同99%)の179億円となった。第3四半期は11月までで前年比106%と盛り返し、11月途中から特に良くなり足元も好調が続いているという。

市場別では、中食市場向けが前年比105%、外食市場向けが103%、給食市場向けが108%となった。中食は量販惣菜、コンビニエンスストア、テークアウト弁当、ベーカリー、宅配がいずれも堅調で売上が回復。外食も前年を上回ったものの、2019年比では66%までしか戻っていないという。給食は学校給食、施設病院給食が堅調で伸長した。

カテゴリー別では、主力カテゴリーのメンチカツが前年比109%、ハンバーグ113%、クリームコロッケ104%、餃子130%、煮魚・焼き魚113%、グラタン105%、デザート105%、ソフリ(介護食)104%と、主要カテゴリーがいずれも堅調に推移した。今期の方針としては「全ての基本は安全・安心」の基本姿勢はそのままに、
〈1〉売上回復
〈2〉収益力強化
〈3〉気仙沼工場のフル稼働
〈4〉介護食のリーディングカンパニーに
〈5〉働き続きたいと思える企業に
――の5つを掲げて取組みを進めた。

【〈1〉売上回復】は前述の通り。

【〈2〉収益力強化】は、2020年11月に稼働した気仙沼工場の償却費が増えており、それを除けば収益は一昨年の2019年度よりも上で、ここまで黒字転換も果たした。主力商品の売上増が稼働率向上に繋がり、生産効率が上昇した。

また、コロナ禍以降の市場対応が成果を収めた。市場別売上構成比はおおむね一般外食が1割、中食が6割、給食が3割であるため、回復が早かったこともあるが、市場ニーズを把握した提案、営業による新規開拓提案も奏効した。

さらに、事務所、営業車、電話回線など固定費の見直しも実施。今期から中国・四国の支店統合を行った。

【〈3〉気仙沼工場のフル稼働】では、計画より若干遅れも比較的順調に推移。煮魚・焼き魚の魚ラインは、従来の気仙沼松川工場比1.7倍の生産能力を持つが、新たに焼き魚を手掛けるとともに、トップシール商品も生産し、順調に稼働している。

ソフリ(介護食)ラインは、従来の九州工場の2.1倍の生産能力。当初、工場切り替えに対する得意先のチェックの都合で多少の遅れもあったが回復し、さらなる稼働率向上への見通しが立った。

水産カツラインは順調も大手得意先の採用にも左右される面があるという。

なお、気仙沼工場は増設も視野に入れて計画していたが、大西社長は「計画立案が2017年で、インバウンド需要等も想定していた。コロナ禍により当初より1年ほどは遅れる見通しだが、挽回できない数字ではないと考えている」と話、中長期的な増設に含みを持たせた。

【〈4〉介護食のリーディングカンパニーに】では、コロナ禍により介護関連の得意先は他の業態と比べても直接のコンタクトが難しく、認知度向上のためインスタグラムを活用したり、小冊子「ソフリ通信」を発行したりするなどの活動を実施。

また、親会社・マルハニチロと初めて共同で介護食レシピコンテストを開催するなど、グループ一丸での市場開拓にも取組んだ。

【〈5〉働き続きたいと思える企業に】では、社員からの提案に即し、社員のノウハウを共有するため内部教育を開始するとともに社内ネットワークを強化。また若手中堅社員による未来プロジェクトを組成し、今後を担う社員からの提案を採り入れる体制を整備した。

〈2022年2月に追加でナショナルブランド322品の値上げを実施、各種コスト増のため〉
なお、ヤヨイサンフーズでは既に10月から、牛肉使用製品14品を5〜10%値上げしていたが、2022年2月1日から、ナショナルブランド商品322品を3〜10%値上げする。

大西社長は「コロナ禍の状況はまだ予断を許さず、それにより業績がアップ・ダウンする状況だ。足元では好調だが、オミクロン株の行方が気がかりだ。そして大きな課題はコスト増で、原料、エネルギー、物流費、労務費などがいずれも上昇している。それをどう吸収するかが課題で、前年度赤字となったこともあり、業務・原料・物流等さまざまに見直してきたが、どうしても値上げせざるを得ない状況となり、10月から牛肉関連商品の一部を値上げした。2022年2月1日から、他の商品の一部でも値上げをお願いする」など話した。

〈冷食日報2021年12月24日付〉