イートアンド、3カ年中計「Sustainable Growth 2024」発表、2030年グローバル売上高1000億円に向け2024年度は500億円

イートアンドホールディングス・文野直樹代表取締役会長CEO
イートアンドホールディングスの文野直樹代表取締役会長CEOは、4月13日に東京ヘッドオフィスで開催した決算説明会の中で中期3カ年経営計画(中計)「Sustainable Growth2024」について説明した。

長期的な目標として2030年度、「グローバル売上高1,000億円」を掲げ、そこへ至る過程として2024年度、売上高500億円・営業利益25億円の経営目標を設定。現在好調の食品事業を着実に拡大させながら、コロナ禍で傷んだ外食事業の再生を図り、さらにEC・海外分野で新規事業の探索を進めることで目標達成を目指す。

同社グループは、外食事業と食品事業の両輪経営によりここまで着実に成長してきた。特に近年は食品事業が成長をけん引している。2020年度の売上はコロナ禍で外食事業が不振に陥ったが、食品事業がカバーし、2021年度は外食事業も店舗のスクラップ&ビルドを進めたことなどで回復基調となっている。

そうした中、2030年度の目指す姿を示す長期ビジョン「Eat&チャレンジ2030」を策定。内容は「ふとした気づき、ちょっとした工夫を積み重ね、食シーンに新しい価値を生み出し、グローバル売上高1,000億円を目指します」とした。文野会長は「“Eat&”という社名がそのまま経営理念でもあり、食べることにプラスアルファの価値を加えることを表している。食品業界では大きなイノベーションはなかなか起きないが、少しずつの工夫でおいしさ、価値を積み重ねていくことが当社のここまでの成長にもつながってきた」と話す。

今回の中計はその長期ビジョンを見据えた持続的成長の礎を築く3カ年と位置づけ、2024年の経営目標として売上高500億円(2021年度比192億円増)、営業利益25億円(同17億円増)、外食事業店舗数650店舗(同178店舗増)などを設定している。それに向け、基幹事業である「外食事業の再生」と「食品事業の拡大」を進めるとともに、「新規事業の探索」を目指し各施策を進める。

文野会長は、現状認識を踏まえとりわけ外食事業の低収益構造からの脱却を重視。

「過去10年の売上高と営業利益率の推移を見ると、食品事業は着実に成長しているが、外食事業の不振が全社の収益悪化に影響している」。
「近年成長は続いているものの、微増・低収益が当たり前になってしまっている。食品事業はマーケットの追い風もあり、しっかり(商品を)作ることさえできれば、営業力で売り切ることができると考えている。外食事業はコロナ禍の影響を受けたが実はその前からここ4、5年、出店が減速するなどうまくはいっていなかった」。
「その要因として、繁華街立地で深夜営業を続けることで薄利の状態が続き、ちょっと違うと違和感を感じていたことがあった。薄利でフランチャイズを募集するのも無理がある話だった」。
「(コロナ禍で)外食店舗のスクラップ&ビルド、郊外立地への転換を図り、業績も回復し自信が出てきた」。
など話した。

戦略の方向性として、まず持続的な成長に向け強固な組織基盤を構築するため、2021年11月に制定した「パーパス」の浸透と、サステナビリティの推進を実行。社持続可能な社会の一員としての企業の存在目的である「パーパス」は「食を通じて、持続可能な社会の実現に貢献し、+&の発想で、ワクワクする未来を生み出し続けます。」としている。

その上で、事業ポートフォリオマネジメントをさらに強化し、外食事業と食品事業の両輪を深化させるとともに、次世代の柱となる新規事業――海外アジアへの出店拡大、外食EC への着手、M&A とアライアンスによる事業補完――を積極的に探索する。

また、現在は外食事業・食品事業の2軸で活用する「大阪王将」などのブランドを、新規事業の海外事業やEC 事業でも今まで以上に活用していく。より具体的に、外食事業では、基幹事業である大阪王将の出店を拡大。ひとまず人口の多い関東圏限定で、セントラルキッチンも活用した高収益率の新フランチャイズモデルを展開し、生活立地を中心に厳選出店。ドミナントを構築するとともに、イートインとテイクアウトのニーズに対応する「二刀流モデル」を展開する。

前述の通り、2024年度までに178店舗増の650店舗を目指すが、うち国内で106店舗増550店舗、海外72店舗増100店を計画する。

食品事業では、生産数量を2021年度の3万3,000トンから27%増となる4万2,000トンに引き上げる計画。今年10月に稼働する関東第三工場による供給能力の拡張に加え、設備の新設と改修による生産ラインの高速化、生産量拡大に対応するロジスティクスの強化を実施。その上でスマートファクトリー化による効率化を推進し、粗利率のさらなる向上に繋げる。

商品面では、開発のイノベーション、R&D の強化を推進。次の柱となる商品カテゴリーの育成や、利便性・機能性のさらなる追求、製法や栄養価などの研究開発も進めていく。

〈冷食日報2022年4月18日付〉